由宇村(読み)ゆうむら

日本歴史地名大系 「由宇村」の解説

由宇村
ゆうむら

[現在地名]由宇町大字由宇

玖珂郡の東南部に位置し、瀬戸内海に東面する、古くから開けた大村。岩国藩領。

村名は延喜八年(九〇八)周防国玖珂郡玖珂郷戸籍(石山寺文書)や「和名抄」にみえる由宇郷に由来する。由宇郷の名称は中世から近世初期まで存続し、康応元年(一三八九)の「鹿苑院殿厳島詣記」三月一一日条にも「安芸と周防のさかひの川の末の海づら過て、周防の国岩国・ゆふ・むろ岡などいふ所々きたにみゆ」とある。「閥閲録」所収冷泉五郎家文書の文亀二年(一五〇二)八月三日付大内義興の署名のある冷泉下野五郎宛文書に「周防国玖珂郡由宇郷内拾三石高石三郎先知行分(中略)可被全領知之状如件」とある。慶長一五年(一六一〇)検地帳では由宇郷。慶安四年(一六五一)の「御領分村一紙」で初めて「油宇村」と出る。なお「玖珂郡志」に「由宇郷 昔ハ小早川隆景公領地ニテ、年貢ヲ三原ヘ運送セシ由」とあるが詳細は不明。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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