甲斐金山遺跡(読み)かいきんざんいせき

国指定史跡ガイド 「甲斐金山遺跡」の解説

かいきんざんいせき【甲斐金山遺跡】


山梨県にある戦国時代に稼働した金山跡。指定名称は「甲斐金山遺跡 黒川金山(くろかわきんざん) 中山金山(なかやまきんざん)」。黒川金山は県の北東部、甲州市(旧塩山(えんざん)市上荻原)の鶏冠山(黒川山)山腹に、中山金山は県の南部、南巨摩(みなみこま)郡身延(みのぶ)町湯之奥の毛無(けなし)山山腹に位置する遺跡で、ともに1997年(平成9)に「甲斐金山遺跡」として国の史跡に指定された。黒川金山は、戦国時代に甲斐を統一して甲州金を流通させた武田信玄の金山と考えられ、三十数ヵ所の坑口、精錬場跡などが確認され、最盛期には黒川千軒と呼ばれる鉱山町が成立していた。武田氏の滅亡後は徳川家康の保護を得て、1583年(天正11)には金山衆に武田氏時代の特権が追認されたが、元禄年間(1688~1703年)には消滅した。中山金山は、戦国時代に河内地方を支配していた穴山氏によって開かれ、穴山氏の滅亡後は徳川家康によって採掘が続けられ、17世紀末期に閉山したと推測される。すり鉢状の採掘跡や坑道跡などの遺構、引き臼や鏨(たがね)などの鉱山道具、陶磁器銅銭などの日用品が出土しており、金の採掘が砂金取りから露天掘り、坑道堀りへと進化していく様子が保全されていたため国の史跡に指定された。この時の発掘調査成果をもとに「甲斐黄金村・湯之奥金山博物館」が建設されている。黒川金山へは、JR中央本線塩山駅から車で約60分。中山金山へは、JR身延線下部温泉駅から毛無山登山口まで車で約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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