疑問仮名遣(読み)ギモンカナヅカイ

デジタル大辞泉 「疑問仮名遣」の意味・読み・例文・類語

ぎもんかなづかい〔ギモンかなづかひ〕【疑問仮名遣】

語学書。2冊。文部省国語調査委員会編。前編は大正元年(1912)、後編は同4年刊。仮名遣いについて疑問のある291語について、学者の考説や室町時代以前の証例を示したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「疑問仮名遣」の意味・読み・例文・類語

ぎもん‐かなづかい‥かなづかひ【疑問仮名遣】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 かなづかいとして多様の書き方があり、そのどれを正しいとすべきか、歴史的に文献上の例から決定することの困難な語に関するかなづかい。
  2. [ 2 ] 語学書。文部省国語調査委員会編。前編は、大正元年(一九一二)、後編は同四年刊。古書確証を求められず、かなづかいに問題のある語二九一種について学者の考説(前編)と、室町時代以前の証例(後編)を示して研究したもの。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「疑問仮名遣」の意味・わかりやすい解説

疑問仮名遣
ぎもんかなづかい

本居清造,大矢透ら国語調査委員会の委員の手に成ったかなづかい研究書。前編 (1912) と後編 (15) の2冊。文語文の依拠すべき平安時代用例が見つからなかったり,音韻変化の結果,古いかなづかいが問題になったりしている「疑問かなづかい」について,新資料を用いて補訂したもの。本書により歴史的かなづかいの定まった語も多い。

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世界大百科事典(旧版)内の疑問仮名遣の言及

【国語国字問題】より

…しかし,これに対しては,保守的な人々から反対があり,国語表記の伝統を守るべきである,現代語だけの便利主義の思想はよくない,発音主義は品がない,実際上発音どおりに書くことはできない,発音どおりに書くには標準語の発音を決めなければいけないが,まだそれはできていない,外国でもつづり字改良運動は成功していない,歴史的仮名遣いはむずかしくない,などの論があったが,第2次大戦後の混乱時に現代かなづかい案が内閣訓令として公布され(1946),官庁の文書に用いられるにいたり,新聞,雑誌がこれに協力し,義務教育の教科書がこれに追随した。契沖の定めた歴史的仮名遣いは,はじめて契沖が唱えて実行してから200年以上を経過し,楫取魚彦(かとりなひこ)の《古言梯》その他の補訂があり,明治時代に入ってからは国語調査会の《疑問仮名遣》が作られて,問題になる単語の仮名の正しい表記の仕方を研究して定めてある(〈疑問仮名遣い〉の項目参照)。それゆえ,一つの安定した体系を保っているものであるが,すでに発音と仮名との離れが大きいうえ,歴史的仮名遣いだけが日本語の古来の唯一の仮名遣いなのではない。…

※「疑問仮名遣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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