痃癖・肩癖(読み)けんびき

精選版 日本国語大辞典 「痃癖・肩癖」の意味・読み・例文・類語

けん‐びき【痃癖・肩癖】

〘名〙 (「けんぴき」とも。「けんぺき」の変化した語)
① =けんぺき(痃癖)①〔かた言(1650)〕
歌舞伎・椀久浮世十界(1686)「くされ縁か恋風か、痃癖(けんびき)許よりぞっと寒いはこりゃ又あんたる所訳だ」
③ =けんぺき(痃癖)③多く、「あんまけんびき」の形で用いられた。
俳諧鶉衣(1727‐79)前「月おち馬いななき、草鞋うり・焼酌うり・あんまけんびきの声もおさまりて後、拍子木丁々として、これらはいかめしき旅の一体なり」
④ (形動) =けんぺき(痃癖)
浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)六「マア当分立退(のか)す相談といふて当途(あてど)なしにやられもせまい、よっ程なけんびき、マア端近へ出て人に顔見せるも悪い」

けん‐ぺき【痃癖・肩癖】

〘名〙 (「けんべき」とも)
① 首すじから肩にかけての筋のひきつるもの。肩凝り。打肩。けんびき。〔文明本節用集(室町中)〕
※仮名草子・仁勢物語(1639‐40頃)下「太刀担やい火数多に据へぬれば絶へぬ薬にけんべきもなし」
② 肩から首筋にかけての辺り。けんぺきどころ。けんびき。
※歌舞伎・鳴神(日本古典全書所収)(1742か)「一帳羅をらりにしたわいの。ほんに、けんぺきまで濡れたわいなう」
③ (肩の凝りを治すところから) 按摩(あんま)の術。けんびき。
※浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)野崎村「艾(もぐさ)も痃癖(ケンペキ)も大掴みにやってくれ」
④ (形動) 思案にくれ肩が凝るほどの心配事。また、心配なさま。けんびき。
※雑俳・柳多留‐六(1771)「よし町のけんへきに成るいろは茶や」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android