発生機状態(読み)はっせいきじょうたい(その他表記)nascent state

日本大百科全書(ニッポニカ) 「発生機状態」の意味・わかりやすい解説

発生機状態
はっせいきじょうたい
nascent state

しばしば「発生期」状態と記されているが、これは誤用といわれる。ある元素化合物から遊離される瞬間において、きわめて高い反応活性を示すことがままあるが、このようなときに「発生機状態にある」という。たとえば、オゾン分解によって生じた酸素原子は、通常の単体の酸素よりもはるかに活性が大きい。また、水素気流酸性の過マンガン酸カリウム溶液に通じても還元はおこらないが、亜鉛などを投入して溶液中で水素を発生させるとただちに還元がおこる。このような酸素や水素はいずれも「発生機状態」のものである。おそらくは高いエネルギーをもった遊離原子やラジカルの形をとっているものと推定されている。

山崎 昶]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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