白沙宋墓（読み）はくさそうぼ（英語表記）Bái shā Sòng mù

改訂新版　世界大百科事典

白沙宋墓 (はくさそうぼ)
Bái shā Sòng mù

中国，河南省禹県白沙鎮にある3基の宋墓。1951，52年に河南省文物保管委員会，中国科学院考古研究所，中央文化部文物管理局によって調査された。ともに塼（せん）室墓で，1号墓は2室，2・3号墓は単室である。内部の壁面には，白土の上に人物，調度，器瓶などが彩色で描かれている。各墓に男女2体の人骨があり，1号墓の塼地券に元符2年（1099）の年号があることから，ほぼ11～12世紀の北宋代の墓と考えられる。金銀鋌餅（ていへい）が壁面に描かれている点から，地主と商業を兼ねた家柄であったことが考えられる。
執筆者：岡崎 敬

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

白沙宋墓
はくさそうぼ
Bai-sha Song-mu

中国河南省禹県の北西 2.5kmの白沙鎮にある宋代の墓葬群。墓葬群は白沙鎮の北約 1km，潁水の対岸，嵩山の山麓に位置している。発掘は 1951～52年に河南省文物保管委員会などによって行われ，3基の宋墓が調査された。いずれも地下に 塼築 (せんちく) の墓室を設けたもので，元符2 (1099) 年の趙大翁墓は，前後の2室に分れ，4壁には 塼積みの柱があり，前室は宝蓋式の箱形頂の組天井，後室は宝蓋式の截頭六瓣の尖頂をしていた。他の2基の墓はこれよりやや時代が下るが，いずれも当時の木造建築を 塼によって表現し，描かれた壁画からは当時の上層階級の生活がしのばれる。

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