岩石学辞典 「白粒岩相」の解説 白粒岩相 中圧から高圧で高温の条件で形成された変成岩の相.もとは雲母と角閃石の脱水反応を反映した鉱物で定義されたもの.この相の基本的な鉱物は長石(時にペルト石),珪線石または藍晶石,アルマンダインに富む石榴石,菫青石,単斜および斜方輝石である.しかしPH2Oが高い場合には角閃石と雲母は両方とも安定に存在する[Eskola : 1920, 1939, Waard : 1965].この相は,後になってエスコラが追加したもので,白粒岩の構成鉱物は石英,斜長石,石榴石,輝石などである[Eskola : 1939].バイロープ,アルマンダインなどの石榴石が普通に見られる.白粒岩相の岩石ではH2Oを含む鉱物を欠いており,角閃石や黒雲母は安定ではなく,輝石が多く含まれる.火成岩か変成岩かよくわからないことが多く,火成岩の可能性がある.この相は強く脱水作用を受けた鉱物組合せとなり,角閃石が減少してなくなり,白粒相では斜方輝石が出現する.しかし塩基性岩では角閃石が含まれ,酸性岩では輝石が多く,火成岩の場合とは逆の関係を示す.雲母類は含まれない.エスコラは白粒岩には菫青石が産出しないと考えたが,菫青石が出現することがある.SiO2の乏しい岩石には橄欖(かんらん)石,コランダム,スピネルが出現する.一般に珪線石が安定である.珪灰石は形成されずに方解石と石英が安定に共存することが多いが,珪灰石ができることもある.これらの鉱物共生が火成岩に似ているので,以前には火成岩と考えられたことがある.この相に関係のありそうな岩石にはチャルノック岩,榴輝岩などがあり,火成岩か変成岩か明確でないものがある. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報