的屋村(読み)まとやむら

日本歴史地名大系 「的屋村」の解説

的屋村
まとやむら

[現在地名]磯部町的矢まとや

的矢湾の北岸、その湾奥伊雑いぞうノ浦との接点にあり、南岸のさんしよ村に対する。的矢(志陽略誌)とも記す。円墳一四基の船戸ふなと古墳群が村内にある。「神鳳鈔」に的屋御厨がみえ、明治四年(一八七一)神宮制度改正の際、旧厨からの土産調進はすべて停められたが、同三年の皇大神宮神田神戸御厨御薗貢物表(神宮文庫蔵)によれば「鱸魚十四隻六月由貴直会饗料」とある。また、字さとには的矢砦跡があり、城主は的矢美作守(志陽略誌)で「氏経卿引付」寛正三年(一四六二)一〇月一七日付内宮政所大夫氏秀の書状にある的屋城殿のことと思われる。

近世は江戸―大坂間の廻船の風待港として賑い、城米船が出入するため浦役人が駐在し番所が置かれた。港は深く碇のかかりは良く渡鹿野わたかの島が風除けとなる良港で、文久元年(一八六一)に約四〇軒の船宿があった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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