船宿(読み)ふなやど

  • ふなやどり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

江戸時代~明治初期,港町におかれた入港舶の乗組員のための宿屋宿泊慰安のほかに船乗りや荷物の周旋物資供給,舶載品の売却などにあたったものが多い。船の運送業者で船宿と称するものがあったが,動力船出現とともに消滅。現在でも釣船などのためにその名をとどめているところがある。

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百科事典マイペディアの解説

(1)江戸時代の港町で,廻船乗組員のための宿泊施設となり,さらに荷主・船主と問屋との間にたって船荷の売買を周旋し,また船の必需品を供給したところ。(2)遊船,釣などに貸船を仕立てる家。江戸では堀江町,柳橋日本橋江戸橋等に集まり,席を兼ね,男女あいびきの場所ともなり,あるいは吉原通いの客の送迎をも行った。
→関連項目宮腰

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世界大百科事典 第2版の解説

江戸時代から明治前半にかけて,全国の廻(回)船寄港地にあった乗組員の宿屋のこと。当時の回船は港ごとに船宿が決まっていた。とくに回船の多数を占める買積船の場合は,各港で船頭商売をする権限を持っており,船宿は上陸した船頭たちの商取引の場でもあった。これは船荷の取次を行う回漕問屋が船宿を兼ねている例が多かったことにもよる。船宿は幕府の回船に対する統制の一部を分担するという側面を持っていた一方で,回船をめぐる訴訟などでは,船主または船頭側の保証人として船宿がその利益を代弁した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

船員を泊める宿。上級船員用を船宿といい、水夫(かこ)らを泊めるのは小宿(こやど)ということがある。荷物の積み下しや風待ちなどで寄港した船の船員を休養させる必要があり、同時に食糧・燃料・漁業資材を供給する施設であった。それが、船員の紹介や難船処理の立会い、漁獲物の売却など、業務の拡大とともに船問屋・荷主・船主への影響力を増し、系列化も生じた。これとは別に、釣り客や船遊びに船を用意する店も船宿といった。有名な江戸の船宿は、吉原の遊客が船便を利用したのでその休憩所となり、また深川芸者との遊興場所にもなった。両種の船宿とも、明治以後は動力船の導入や陸上交通が発達したため急速に衰退したが、釣り客用の船宿だけが残った。

[原島陽一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 船による荷物などの運送を業とする家。
※俳諧・物種集(1678)「旅のこころをよめあたま数 焼物の汐路にくれて舟宿に〈梵盆〉」
② 客の船遊びまたは魚釣りなどの求めに応じて貸船を仕立てる家。遊船宿。
※俳諧・独吟一日千句(1675)第八「よつ程て長ねをさませ波枕 今出す出す浦の船宿」
③ 特に江戸時代、船で吉原に通う客の送迎をする家。また、その家の者。
※浮世草子・元祿大平記(1702)五「舟宿(フナヤド)桐やより客をむかひの挑燈」
④ 近世、船主・荷主と問屋との仲介や船荷の世話をした家。また、入港した廻船などの乗組員のための宿屋。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
〘名〙 船が碇泊すること。ふながかりすること。また、船中に宿泊すること。
※宇津保(970‐999頃)菊の宴「ききわたりはつかに今日ぞみつの浜〈略〉ふなやどりせん」

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世界大百科事典内の船宿の言及

【待合】より

…原則として待合は,芸者などの芸人を招いて客に遊興させる店で,調理設備をもたず飲食物は他から取り寄せることとし,貸席料のほかに飲食代や芸者の玉代(ぎよくだい)および売春料の一部をはねて収入とする。なお,江戸時代の売春仲介貸席業としては,中宿(なかやど),盆屋(ぼんや),船宿などがあった。【原島 陽一】。…

※「船宿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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