県犬養姉女(読み)あがたいぬかいのあねめ

改訂新版 世界大百科事典 「県犬養姉女」の意味・わかりやすい解説

県犬養姉女 (あがたいぬかいのあねめ)

奈良後期の女官生没年不詳。769年(神護景雲3)忍坂石田の2女王を語らい不破内親王(聖武皇女,母は県犬養広刀自)と謀を通じ,内親王塩焼王の子氷上志計志麻呂皇位につけるべく,称徳女帝の髪を盗み,佐保川で拾ったどくろに入れ,大宮の内に持ち込んで厭魅(えんみ)(まじない呪う)したことが発覚,犬部と改めて遠流に処せられたが,771年(宝亀2)には誣告(ぶこく)であったとして光仁天皇から罪を許され,本姓に復した。
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朝日日本歴史人物事典 「県犬養姉女」の解説

県犬養姉女

生年:生没年不詳
奈良時代後期の女官。天平宝字7(763)年に従六位下から従五位下へ,天平神護1(765)年に従五位上へ昇進している。神護景雲3(769)年,塩焼王(氷上塩焼)の妻不破内親王と通じてその子氷上志計志麻呂を皇位につけようとした首謀者とみなされ,犬部と改姓されて遠流に処せられた。称徳天皇の髪を盗み佐保川から拾ってきた髑髏に入れ,大宮の内に持参して3度にわたり呪いをかけた罪という。しかし,宝亀2(771)年に至って丹比乙女による讒言であったことがわかり無罪とされ,県犬養の本姓に復した。翌年,再び従五位下に復帰している。姉女が結託したという不破内親王は,聖武天皇と県犬養唐の娘広刀自の間に生まれた皇女であるから,姉女は広刀自の近親であって内親王に仕えていたものであろう。

(明石一紀)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「県犬養姉女」の解説

県犬養姉女 あがたのいぬかいの-あねめ

?-? 奈良時代の女官。
県犬養大宿禰(おおすくね)の氏姓をさずかるが,神護景雲(じんごけいうん)3年(769)不破(ふわ)内親王とはかり,内親王と塩焼(しおやき)王との子氷上志計志麻呂(ひかみの-しけしまろ)を皇位につけようとしたとして,氏を犬部(いぬべ)とあらためられ,遠流(おんる)に処された。2年後無実とわかり,県犬養宿禰に復した。

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