改訂新版 世界大百科事典 「氷上志計志麻呂」の意味・わかりやすい解説
氷上志計志麻呂 (ひかみのしけしまろ)
奈良朝後期の賜姓皇族。生没年不詳。氷上塩焼(しおやき)の子で,母は聖武天皇の娘不破内親王。764年(天平宝字8)父塩焼は恵美押勝(藤原仲麻呂)とともに謀反をおこして誅殺されたが,志計志麻呂は母不破内親王によって連座しなかった。769年(神護景雲3)不破内親王は県犬養姉女,忍坂女王,石田女王らと志計志麻呂を擁立しようと謀り,称徳天皇の頭髪を盗んで佐保川の髑髏(どくろ)に入れ,宮内に持ち込んで厭魅(えんみ)を行ったとして,厨真人厨女と改名されて京外に追放され,志計志麻呂は土佐国に遠流,姉女らも改名のうえ遠流となった。771年(宝亀2)この事件は丹比乙女の誣告(ぶこく)として姉女は本姓に復されて772年従五位下を授けられ,不破内親王も同年属籍を復されて774年本位四品を授けられたが,志計志麻呂については明らかでない。
執筆者:西山 良平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報