忍坂(読み)オサカ

デジタル大辞泉 「忍坂」の意味・読み・例文・類語

おさか【忍坂】

奈良県桜井市忍阪おっさか古称神武天皇の命により道臣命みちのおみのみことが賊を討った所といわれる。おしさか。

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精選版 日本国語大辞典 「忍坂」の意味・読み・例文・類語

おさか【忍坂】

  1. 奈良県桜井市忍阪(おっさか)古名。神武天皇が道臣命(みちのおみのみこと)に命じて、酒盛り中の賊を征伐させた所といわれる。おしさか。
    1. [初出の実例]「意佐加(オサカ)大室屋に 人多(さは)に 来入り居り」(出典古事記(712)中・歌謡)

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百科事典マイペディア 「忍坂」の意味・わかりやすい解説

忍坂【おしさか】

奈良県桜井市の東部,外鎌(とかま)山西麓の古代以来の地名。恩坂,押坂とも書き,〈おさか〉ともいう。遺称地である桜井市忍阪は〈おっさか〉。地名〈忍坂〉は《日本書紀神武天皇即位前紀や垂仁天皇39年10月条にみえ後者の記事によるとこのとき大刀1千口を新たに作らせ,〈忍坂邑〉に収蔵したのち石上(いそのかみ)神宮(現奈良県天理市)に移している。また5世紀ころとみられる和歌山県隅田(すだ)八幡神社蔵の隅田八幡人物画像鏡銘文に〈大王男弟王在意柴沙加宮〉とあり,これは継体天皇が〈意柴沙加(おしさか)宮〉にいたことを示すものとも考えられる(意柴沙加宮を人名とする説もある)。允恭天皇后妃〈忍坂大中姫〉や敏達天皇皇子〈押坂彦人大兄皇子〉は当地に宮を営んだと推定され,舒明天皇陵墓押坂内陵)も設けられている。律令制下では城上(しきのかみ)郡に属して忍坂郷となり,中世には忍坂荘,近世には忍坂(恩坂)村があった。式内社〈忍坂坐生根(おしさかにいますいくね)神社〉がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「忍坂」の意味・わかりやすい解説

忍坂 (おしさか)

奈良県桜井市東部の歴史地名。押坂,恩坂とも書き,おさかともいう。忍坂邑の名は古く《日本書紀》神武即位前紀,垂仁紀にみえ,最古の金石文の一つである隅田(すだ)八幡人物画像鏡の銘文に〈意柴沙加宮(おしさかのみや)〉の名が認められる。允恭天皇の后妃,忍坂大中姫(おおなかつひめ)や敏達天皇の皇子,押坂彦人大兄皇子は忍坂に宮を営んだともいわれ,皇子の妃,糠手姫(あらてひめ)皇女や子の舒明天皇の陵墓もこの地に置かれたという。《和名抄》では忍坂郷として城上(しきのかみ)郡に属し,中世には忍坂庄も認められる。元禄郷帳には恩坂村とあり,現在の桜井市大字忍阪の地にあたる。
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