真魚(読み)マナ

デジタル大辞泉 「真魚」の意味・読み・例文・類語

ま‐な【真魚】

食用の魚。
真魚の祝い」の略。
一院御所にて―きこしめす」〈増鏡・さしぐし〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「真魚」の意味・読み・例文・類語

ま‐な【真魚・真菜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ま」は接頭語 )
  2. 食膳に用いる魚。さかな。
    1. [初出の実例]「まなの御あはせども整えて奉り侍りければ」(出典:今鏡(1170)九)
  3. まな(真魚)の祝い」の略。
    1. [初出の実例]「定若宮可御真菜御食日雑事、初作御器、来月十九日」(出典:御堂関白記‐寛弘七年(1010)七月二一日)

真魚の語誌

( 1 )食膳に供される野菜類や魚介類などの副食物を示す「な」に、美称接頭辞「ま」が付いた語で、平安時代には用いられていたと考えられる。中世女房たちの間では、さらに「お」が付された「おまな」が用いられた。
( 2 )中世後期から近世にかけては、食膳に供される鮎(あゆ)や鰯(いわし)などを「まな」とする用例が見られ、生きた魚とは呼び分けられていたと思われる。
( 3 )近世には「まな」の意味領域に「さかな」が入ってきて、勢力を増し、現在では「まな」は使われなくなった。

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