昆虫の幼虫が脱皮のために静止する状態を眠といい,幼虫期間になん回眠につくか(脱皮するか)という性質を眠性という。元来はカイコが脱皮の前に少量吐糸し体を固着させ,あたかも眠っているような状態になることからこう呼ばれたが,現在では昆虫一般にも使われることがある。一般に昆虫の表皮は成長に伴って連続的に増殖するものではなく,脱皮を行う過程で段階的にその表面積を増す。すなわち,脱皮直後の幼虫は多数のしわをもっており,成長するとそれが伸展し,限度に達すると眠に入り,古い表皮の下に多数のしわをもつ新しい表皮を作ったのち脱皮する。カイコの幼虫は4回脱皮してさなぎになる。孵化(ふか)してから1回目の眠につくまでを第1齢といい,第1眠の後,脱皮して第2齢になる。このようにして第5齢まで進んでさなぎとなる昆虫の幼虫は4回眠につくわけで,これを4眠性という。鱗翅目昆虫の幼虫では3眠性から6眠性のものが多い。眠期の長さは15~40時間が普通で,脱皮後しばらくは新しい表皮が固まるまで静止している。眠性は遺伝的に支配されており,カイコでは普通は4眠性であるが,まったく眠につかないものから5眠性のものまである。4眠性のものでも栄養条件がよいと3眠性になったり,悪いと5眠性になることがある。このような変化は眠がホルモン(アラタ体ホルモンと前胸腺ホルモン)により支配されており,栄養条件でホルモンの分泌が修飾されるためである。眠中は幼虫が静止しているので,あたかも代謝が低下しているように見えるが,実際には脱皮のための準備期間であり,一面では活発な代謝が行われている。卵の中の胚も孵化までに数回脱皮する。
執筆者:小林 正彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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