着色中心(読み)チャクショクチュウシン(その他表記)colour center

デジタル大辞泉 「着色中心」の意味・読み・例文・類語

ちゃくしょく‐ちゅうしん【着色中心】

色中心

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「着色中心」の意味・わかりやすい解説

着色中心 (ちゃくしょくちゅうしん)
colour center

色中心ともいう。電子をもつ点状の格子欠陥,またはその集合体をいう。もともとは無色透明であった結晶がこのために色を帯びる場合をいった。典型的な例はハロゲン化アルカリのF中心で,ハロゲン化アルカリの単結晶アルカリ金属の蒸気中で高温に保つとF中心が作られ,着色する。例えば塩化カリウムKClでは赤紫色となる。F中心は負イオンの空格子点に電子が捕獲されたもので,この電子の光遷移によって色が出現する。このほかにもF中心が2個隣接したM中心,陽イオン空格子点に正孔が捕獲されたV中心など多種の着色中心がある。また,各種のイオン結晶にも着色中心が知られている。1930年ころよりドイツのゲッティンゲン大学を中心として研究が始まり,電子構造などが詳しく解明された。その成果は半導体や蛍光体の研究の進歩におおいに貢献した。現在は,ガラスの放射線損傷に関連して研究が行われている。また,サングラスの調光レンズなどに使われている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「着色中心」の意味・わかりやすい解説

着色中心
ちゃくしょくちゅうしん
colour centre

イオン結晶中の格子欠陥に電子または正孔が捕えられて生じる局所的な電子状態。近紫外部または可視部の光を吸収するものが多い。本来は透明な結晶が色づく場合が多いので,一般に着色中心と呼ばれ,色中心ということもある。最も代表的な着色中心は陰イオンの空格子点に電子がとらえられたもので,色のドイツ語 FarbeにちなんでF中心と呼ばれる。たとえば岩塩結晶の場合,465nmに極大をもつ釣鐘形の吸収帯を生じる。このとき結晶は黄褐色となる。F中心はハロゲン化アルカリの結晶をアルカリ金属蒸気中で加熱するか,またはX線などの放射線で照射すると得られる。X線照射をするとF中心と同時にV中心も生じる。V中心は正孔に関係したもので,紫外部に吸収を生じる。代表的な例としては,Vk 中心やH中心などがある。これらの着色中心の構造決定には電子スピン共鳴測定が有効である。

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化学辞典 第2版 「着色中心」の解説

着色中心
チャクショクチュウシン
color center

[同義異語]色中心

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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