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放射線損傷 ほうしゃせんそんしょう radiation damage

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

放射線損傷
ほうしゃせんそんしょう
radiation damage

固体材料が放射線を受けたときに,組成原子をはじき出して格子欠陥を生成したり,核反応により組成原子を核変換させたりしてその材料の特性変化,おもに好ましくない変化を生じることをいう。高分子化合物では好結果を現わす場合もあり,これらを一括して放射線効果ということもある。

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デジタル大辞泉の解説

ほうしゃせん‐そんしょう〔ハウシヤセンソンシヤウ〕【放射線損傷】

放射線の照射による物質の損傷。原子炉の材料に格子欠陥などが生じ、外形や強度の変化、腐食の促進を引き起こす。β線γ線に比べ、中性子α線核分裂片のような重粒子の方が損傷の度合いが大きい。黒鉛の損傷については、ウィグナー効果という。照射損傷。ラジエーションダメージ。レディエーションダメージ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

放射線損傷
ほうしゃせんそんしょう
radiation damage

放射線の照射によって物質(おもに固体)の構造が乱れ(格子欠陥の生成)、性質が変化することをいう。照射損傷ともいう。生ずる変化は、照射する放射線の種類、対象となる物質によって異なる。たとえば、食塩などのイオン結晶にγ(ガンマ)線を照射すると、結晶中の原子の位置には変化がなく、電子が空の格子点などに捕捉(ほそく)されて、いわゆる色中心をつくる。照射したガラスが着色するのもこのような原理による。この着色は、焼きなまし(アニーリング)により温度をあげると消失する。また、金属に中性子を照射すると、金属中の原子は結晶格子位置からはじき出され、さまざまな「欠陥」をつくる。入射した中性子のエネルギーが25電子ボルト程度より大きい場合は、1個の原子をはじき出すことができるが、このエネルギーが50電子ボルトより大きい場合は、はじき出された原子は次の原子と衝突して、これもはじき出す。このようにして次々と衝突を繰り返す結果、中性子が入射した部分を中心に、数百原子程度にわたって、結晶格子の乱れが生じる。これをスパイクとよぶ。
 高放射線下における実用上重要な放射線損傷の例をいくつかあげておく。コールダーホール型原子炉の減速材に用いられている黒鉛には、エネルギーが蓄積され、照射損傷が生じる。蓄積したエネルギーを除くためには、温度をあげてアニーリングを行う必要があり、その際に大量の熱が放出される(ウィグナー放出)。1957年イギリスのウィンズケールで発生した大量の放射性物質放出を伴う事故は、この発生熱の制御に失敗したためであった。また、金属材料の場合、中性子照射によってもろくなる。軽水型発電炉(軽水炉)の圧力容器は大量の中性子を浴びるため、原子炉の寿命末期において、この圧力容器に脆性(ぜいせい)破壊が生ずる危険性が指摘されている。そのほか、同じ軽水炉に用いられるウラン酸化物燃料においても、放射線の影響などによってさまざまな組成変化が生じ、燃料破損の原因となってきた。照射損傷の研究は高放射線にさらされる材料の開発のうえで重要である。[舘野 淳]

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