矢三村(読み)やそむら

日本歴史地名大系 「矢三村」の解説

矢三村
やそむら

[現在地名]徳島市きた矢三町やそちよう一―四丁目・南矢三町みなみやそちよう一―三丁目・北田宮きたたみや四丁目・南田宮みなみたみや四丁目・春日かすが二―三丁目

田宮村の西、北東流する鮎喰あくい川右岸にあり、南を田宮川が東流する。村名は「やそう」とも読まれる(正保国絵図)。「阿波志」には矢三は古くは野三に作り、かつて野三刑部が当地にいたことから名付けられたとある。野三刑部丞成綱は鎌倉時代の麻殖おえ保の地頭(「吾妻鏡」文治四年三月一四日条)、関連性は希薄である。また矢三の地名については、戦国期に当地にキリシタン(耶蘇)教会が置かれ、阿波での伝道の中心になったことに由来するとする説がある。しかし戦国時代末期の成立とされる「三好別記」には、天正四年(一五七六)三好長治が「やそう村」で鷹狩中に別宮べつくの者から船を徴発しようとし、船を渡すのが遅いとして成敗したことが記される。また「みよしき」にも「やう村」もしくは「やさう村」での出来事として同様の話を載せている。

慶長二年(一五九七)の分限帳には矢三とみえ、三七石余が寺沢弥次右衛門、二三石余が尾関藤七郎、七四石余が谷源太郎、一〇〇石が堀越清兵衛、七〇石と新開三〇石が斎藤四郎右衛門、五〇石が赤沢新兵衛の知行分。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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