旧長崎街道の神埼宿の町並のやや北に位置し、同宮の西方に
「肥前風土記」の神埼郡に「昔者 此郡有荒神、往来之人 多被殺害、纏向日代宮御宇天皇 巡狩之時、此神和平。自尓以来 無更有殃」とあるが、この荒神はすなわち今の櫛田社であると江戸期の「太宰管内志」は記している。また元和九年(一六二三)六月同宮社務の本告政景の櫛田社由緒書上案(櫛田神社文書)にも、
とあり、ともに景行天皇のとき創建と伝える。いずれにせよ古くから郡を代表する宗廟で、また神埼庄の鎮守でもあった。
祭神は農業神としての奇稲田姫神(櫛名田比売神)が主神で、ほかに素盞嗚命と日本武尊も合祀。旧県社。例祭は四月八日と一〇月八日。神紋は交差剣。本殿は天明六年(一七八六)、拝殿は安永八年(一七七九)の再建。能舞台は江戸期後半の造営という。鍋島勝茂が奉納した一の鳥居は石造肥前鳥居で慶長七年(一六〇二)の創建と刻されており、県の重要文化財。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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