朝日日本歴史人物事典 「石出常軒」の解説
石出常軒
生年:元和1(1615)
江戸時代の歌人・国学者。名吉深,常軒は隠居後の号。江戸小伝馬町の牢屋敷内に住む牢屋奉行石出帯刀義長の養子。24歳で石出家3代目として家職に就き,明暦の江戸大火(1657)に際して初めて「切放し」を行うなど,職務上のその仁徳は高く評価された。はやく忌部神道を広田坦斎に学び,山鹿素行を同門の友として,山崎闇斎にも神道を指導したといわれる。在職中から歌学や源氏物語研究にいそしんだ。6年余りで認めた大著『窺原抄』62冊(1685年完成,未刊)は季吟の『湖月抄』と並んで近世初期の源氏注釈として名高い。<参考文献>滝善成「囚獄の国学者石出常軒の事績について」(『日本歴史』1973年11月号),重松信弘『新攷源氏物語研究史』
(ロバート・キャンベル)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報