破船(読み)ハセン

デジタル大辞泉 「破船」の意味・読み・例文・類語

はせん【破船】[書名]

久米正雄小説。大正11年(1922)「主婦之友」誌に連載単行本は前後2巻で、同年前編、大正12年(1923)に後編出版

は‐せん【破船】

難破した船。難破船
[補説]書名別項。→破船

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精選版 日本国語大辞典 「破船」の意味・読み・例文・類語

は‐せん【破船】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 荒天座礁または船体の不備、運航の誤りなどで船が壊れること。また、その船。近世の海事用語としては、船が使えなくなる程度に破壊された場合をいう。難破船。
    1. [初出の実例]「群羽遷来窮鳥老、千帆行尽破船沈」(出典:本朝無題詩(1162‐64頃)五・閑居述懐〈藤原周光〉)
    2. [その他の文献]〔魏志‐東沃沮伝〕
  2. [ 2 ] 小説。久米正雄作。大正一一~一二年(一九二二‐二三)発表。恩師勝見漾石(ようせき)の娘冬子への恋に破れる小野とライバル杉浦の葛藤を描く。作者が夏目漱石の長女筆子に対して松岡譲と恋を争って破れた事件に基づく。

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普及版 字通 「破船」の読み・字形・画数・意味

【破船】はせん

難破。

字通「破」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の破船の言及

【海損】より

…江戸時代には運賃積運送をもっぱら行った菱垣(ひがき)・樽廻船において,この制度が確立し,最も厳格に行われた。その慣習法によると,廻船積合の荷主は,打荷の場合のみならず,破船の場合も海損を負担した。そして,打荷による海損の分担を振合力といい,破船による海損の分担を振分散と称した。…

【海難】より

…一方,海難によって生じた財産上の損害を塡補(てんぽ)するために海上保険の制度があるが,その源流はギリシア・ローマ時代にまでさかのぼり,各種の現代的保険の母体をなすとされている。【佐藤 幸夫】
[江戸時代の海難]
 江戸時代の海難を当時の用語に従って挙げれば,破船(難破),難船(難航して船体・積荷に被害があること),膠船(座礁),水船(浸水),沈船(沈没),当逢(あたりあい)(衝突),打揚げ,行方不明等である。このほか広義には,敵艦船の攻撃・拿捕(だほ),沿岸民の占取・略奪,海賊・盗賊の襲撃・強奪,失火・自然発火による火災,不法行為による打荷(うちに)・窃盗等が含まれる。…

【久米正雄】より

…その後,第4次《新思潮》に発表した《競漕》(1916)のほか,学生生活や《新思潮》同人との友情のもつれを描いた軽妙で清新な好短編によって文壇的地歩を築いたが,菊池寛の推挽による長編《蛍草》(1918)の成功をきっかけに通俗小説の領域に進出した。東大英文科卒業前後に漱石令嬢に失恋した体験を素材にした《破船》(1922)が代表作。〈微苦笑〉の造語や評論《私小説と心境小説》(1925)もよく知られている。…

※「破船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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