改訂新版 世界大百科事典 「社寺有林」の意味・わかりやすい解説
社寺有林 (しゃじゆうりん)
社寺が所有する森林。都市の寺町などの寺ではみられないが,村落にある社寺や古い時代に作られた社寺には森林を境内や裏山にもっている場合が多い。森林を所有する社寺は約3万あるが,1ha未満のものが大半である。明治維新前には社寺の領地としての森林が多かったが,1870年に政府は所領を上地させた。上地した森林を50年以下の期限で再びその社寺で保管させ(社寺保有林),一定の条件の下で林地の所有を許可し,林産物の分収を行った。第2次大戦後は政教分離の原則により,社寺保管林制度はなくなり,私有林として取り扱っている。社寺林の規模の大きいものには老齢で優良な森林があり,風致保安林に指定されているものも多い。
執筆者:筒井 迪夫+橋本 与良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報