日本大百科全書(ニッポニカ) 「社食本」の意味・わかりやすい解説
社食本
しゃしょくぼん
企業の社員食堂(社食)で提供されている健康的な献立を、料理の材料や調理方法とともに紹介した本。低塩や低カロリーの食事を要望する社員のために、管理栄養士が栄養バランスと満足感のある献立を工夫する社食が増えるなか、有名企業の社員食堂のレシピ本が刊行され、ブームとなっている。社食本で紹介されている食事は、一般的なランチメニューの熱量の半分程度である500~600キロカロリー程度に抑えた健康的な献立が多い。また、手に入れやすい食材を使った庶民的な副菜の組み合わせなど、日常的に役だつ情報が数多く掲載されている。社員でなければ食べられないメニューを自分でつくって食べられるということも関心を高める理由の一つになっている。
ブームのきっかけとなったのは、2010年(平成22)1月に刊行された『体脂肪計タニタの社員食堂~500kcalのまんぷく定食~』(大和書房)。健康計測機器メーカーであるタニタの社員食堂で提供している、1食500キロカロリー前後に抑えた健康的な定食のレシピ集で、続編と合わせ、累計500万部(2013年3月末時点)を超えるベストセラーとなった。以降、テーブル・フォー・ツー(TFT)を導入している社食の定食25種類を紹介した『世界をつなぐ あこがれ企業の社員食堂レシピ』(東洋経済新報社)、『ヨーガンレールの社員食堂 野菜でつくる一皿料理』(PHP研究所)、『再春館製薬所 ニッポンいちの社員食堂』(主婦の友社)、『日本マイクロソフトの社員食堂 野菜たっぷり!デリレシピ63』(キラジェンヌ)など、社食本の発行が相次いだ。学生食堂や学校給食、病院食などの料理にも注目の対象が広がっている。
[編集部]