大学や短期大学の構内に設けられた,学生に飲食を提供する食堂。「学食」と略称で呼ばれることが多い。学生のための食堂としては,すでに1871年(明治4)に慶應義塾が三田に移転したときから存在し,学生はそこで単に食事をとるだけでなくマナーも学んだとされる。すでに第2次世界大戦前から多くの大学に学生のための食堂は設けられていたが,学食といわれるようになったのは戦後になってからのようである。1946年(昭和21)に財団法人学生食堂連合会が東京大学を中心とする都内のおもな大学を中心に組織され,各大学の学生食堂への食糧の特別配給を受け,学生の食生活を援助した。同年,東京大学農学部3号館の地階に,農学部協同組合が設けた構内外食券食堂は開業10日にして1日の利用者数866人を数えたという。その後,学食は他の大学構内にも続々と設けられ,安価な食材の一括大量購入とセルフサービスによる人件費の軽減によって,比較的低い価格で飲食物が提供された。
近年は大学生協だけでなく,給食事業者,弁当製造メーカーなど学食の運営母体も多様になり,ファストフードや有名レストランチェーンの店舗が構内に設置されている場合も少なくない。かつての安さと量を競う時代から,大学の魅力を高めるため高級感をもったメニューも用意されるようになっている。ミールカードなど年間利用券を発行したり,学生の食習慣の改善を図り,早い時間帯に学食で積極的に「朝食」を提供する大学もある。
著者: 松浦寛
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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