神器譜(読み)しんきふ(その他表記)Shén qì pǔ

改訂新版 世界大百科事典 「神器譜」の意味・わかりやすい解説

神器譜 (しんきふ)
Shén qì pǔ

中国,明の趙士禎著書で,5巻。鉄砲構造や使用法を解説した技術書として有名で,1603年(万暦31)ころ成る。明は16世紀半ばごろ倭寇に脅かされ,とくに日本の鉄砲の威力を知った。著者はこれに対抗する策を考え,新兵器としての鉄砲の重要性を説いたのである。万暦刊本のほか和刻本近時出版された《玄覧堂叢書》本があり,後者は最近その影印本が出た。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神器譜」の意味・わかりやすい解説

神器譜
しんきふ

豊臣秀吉(とよとみひでよし)の朝鮮出兵において、日本軍の鉄砲に悩まされた中国軍を援助するため、趙士禎(ちょうしてい)が著した中国の鉄砲解説書。彼は嚕密(ろみつ)銃(オスマン・トルコの銃)を第一等に推し、次に西洋銃(ポルトガル銃)をあげており、嚕密銃についてもっとも詳しく説明している。なお本書は、藤井宏(ひろし)の説によれば、1598年から1603年以降にかけて四度にわたって成立し、四度目のものが国立公文書館所蔵の五巻本『神器譜』であり、清水正徳(まさのり)校、1808年(文化5)刊の和刻本はこのほぼ忠実な翻刻本であるとのことである。

[矢澤利彦]

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旺文社世界史事典 三訂版 「神器譜」の解説

神器譜
しんきふ

明末期に趙子禎 (ちようしてい) が著した,火器種類と構造に関する技術書
豊臣秀吉の朝鮮出兵で,日本軍の鉄砲に苦しめられた中国軍を支援するため,1599年ごろ刊。5巻。西洋式鉄砲,特にオスマン銃とポルトガル銃の構造を詳述

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