禁制遷移(読み)キンセイセンイ(その他表記)forbidden transition

デジタル大辞泉 「禁制遷移」の意味・読み・例文・類語

きんせい‐せんい【禁制遷移】

原子分子原子核などにおけるエネルギー準位間で、普通ではほとんど起こりえないはずが、ある特殊条件下でわずかに起こる遷移。これによって放出される弱いスペクトル線を禁制線という。禁止遷移

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「禁制遷移」の意味・わかりやすい解説

禁制遷移
きんせいせんい
forbidden transition

遷移のうち,起りやすいものを許容遷移,起りにくいものを禁制遷移という。厳密には多重極展開を用いて定義され,最低次の近似で得られる遷移モーメントがゼロの遷移を禁制遷移,ゼロでない遷移を許容遷移という。原子物理学では,放射・吸収される光の波長が十分長いため,多重極展開はきわめてよい近似法になり,最低次の電気双極子モーメントによって起る遷移を除いて,すべて禁制遷移となる。ただし,電気双極子遷移のなかでも,スピン波動関数の直交性のため,遷移確率が許容遷移に比べて著しく小さくなる場合があり,これをスピン禁制遷移という。原子核物理学でも,スピン変化が2つ以上の遷移,あるいはパリティの変化する遷移を禁制遷移という。

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化学辞典 第2版 「禁制遷移」の解説

禁制遷移
キンセイセンイ
forbidden transition

[別用語参照]禁制線

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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