日本大百科全書(ニッポニカ) 「福利厚生代行サービス」の意味・わかりやすい解説
福利厚生代行サービス
ふくりこうせいだいこうさーびす
企業の福利厚生部門を請け負うサービス。企業が従業員やその家族向けに設けている福利厚生の提供内容を充実させるため、また業務の効率化を図るため、会社の福利厚生制度を外部委託する会員制サービスである。企業は社員数に応じて数万円~数十万円の入会金を支払って加盟し、毎月、従業員1人当り数百円の会費を納めると、従業員とその家族は、代行サービス会社が提携している宿泊施設、レジャー施設、スポーツジム、カルチャースクールなどを割安な料金で利用することができる。サービス内容や契約方法にはさまざまな種類があるが、定額制でひとまとめにした基本的なサービスすべてを受けられるパッケージプランと、付与されたポイントの範囲で従業員自身が受けたいサービスを選択することができるカフェテリアプランに大別することができる。
1990年代のバブル崩壊や金融危機という厳しい経済環境にあって、企業はコスト削減を進める必要に迫られていた。そのような状況のなかで、福利厚生を割安に外部委託することができる専門業者が誕生し、代行サービスを導入する動きが徐々に広がっていった。企業が資産運用も兼ねて所有していた社宅や保養所などを合理化の過程で手放したこともきっかけになっている。もともと割安に福利厚生の充実を図りたい中小企業の加盟が多かったが、サービスが拡充され、全国で均一な福利厚生が容易に提供できる利点もあって大企業の加盟も進んだ。また、サービス内容は、飲食や映画鑑賞などでクーポン券を提供したり、育児や介護、健康、医療などの分野で情報提供や追加サービスを用意したりするなど、従業員の日常面にかかわるオプションサービスが年々多様化している。
[編集部]