私の男(読み)ワタシノオトコ

デジタル大辞泉 「私の男」の意味・読み・例文・類語

わたしのおとこ〔わたしのをとこ〕【私の男】

桜庭一樹長編小説。父と娘の過去を、時代を遡りながら描く。平成19年(2007)刊行同年、第138回直木賞受賞

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知恵蔵 「私の男」の解説

私の男

桜庭一樹による小説。「別冊文藝春秋」に2006年9月号から07年7月号まで連載された。07年10月に単行本化、10年4月に文庫化され、計50万部を超えるベストセラーとなっている。第138回(07年下半期)直木賞受賞。
小説では、北海道・奥尻島を襲った大地震による津波で家族を失った10歳の少女・竹中花が、遠縁の腐野淳悟に引き取られ、成長し、社会人となり尾崎美郎と結婚。その間に起こったことが、時系列をさかのぼりながら明らかにされていく構成となっている。花と淳悟は養女義父という関係だが、実際には血のつながった親子だった。殺人事件や2人を取り巻く人間模様、北海道の風景描写を交えながら、親子の関係を超えたタブーの愛を描き、話題を呼んだ。
14年には同小説を原作に、監督・熊切和嘉主演浅野忠信二階堂ふみで映画化された。北海道紋別市などでロケが行われ、美しい流氷のシーンは斜里町ウトロで撮影された。映画では、時系列に沿ってストーリーが進み、原作とは結末も異なる。
同年のモスクワ国際映画祭に出品され、グランプリ(最優秀作品賞)を受賞。日本作品のグランプリ受賞は、1999年の「生きたい」(新藤兼人監督)以来。また、主演の浅野忠信が最優秀男優賞を受賞した。これは、83年の「ふるさと」で加藤嘉が受賞して以来である。

(松岡理絵  フリーランスライター / 2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「私の男」の解説

私の男

2014年6月に公開された熊切和嘉監督の映画。原作は第138回直木賞を受賞した桜庭一樹のベストセラー小説で、災害で家族を失った少女・花と、彼女を引き取った遠縁の親戚・淳悟が禁断の愛を育んでいく物語。14年6月28日、第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門で最優秀作品賞と最優秀男優賞(浅野忠信)のダブル受賞を達成した。日本映画が同映画祭で最優秀作品賞に輝くのは、1999年の新藤兼人監督作『生きたい』以来15年ぶり。日本人俳優が最優秀男優賞を受け取るのは、加藤嘉が83年に『ふるさと』で受賞して以来31年ぶり。主要国際映画祭での日本人の主演男優賞受賞は、『誰も知らない』で2004年のカンヌ映画祭男優賞を受賞した柳楽優弥以来10年ぶり。

(2014-7-2)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「私の男」の解説

私の男

2013年公開の日本映画。監督:熊切和嘉、出演:浅野忠信、二階堂ふみ、高良健吾ほか。桜庭一樹の直木賞受賞作を原作にした、少女と養父の禁断の関係を描いた恋愛ドラマ。第69回毎日映画コンクール日本映画大賞受賞。二階堂は第38回日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を受賞。

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