科学としての政治学(読み)かがくとしてのせいじがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「科学としての政治学」の意味・わかりやすい解説

科学としての政治学
かがくとしてのせいじがく

1920年代から 60年代初期にかけて自己の価値志向や政策志向を排除し,政治学の「科学化」を強く主張するにいたった傾向。 K.マンハイムは「流動し生成しつつあるものについての知識,創造的な行為についての知識」を科学としての政治学成立の契機と考えた。また政治学に統計学や心理学などを最初に導入した C.E.メリアムは科学的方法を主張し,彼に連なるシカゴ学派政治現象への学際的・動態的アプローチによる科学的政治学の樹立を志した。次いで D.イーストンらは分析単位をおもに個人におきつつ,役割,集団,制度,組織などを理論的単位とする行動論を展開して「政治科学」の確立を目指してきた。しかし 60年代後半にいたって,このような学問に対してさまざまな批判が現れた。それらは政治現象に自然科学の方法を適用することの妥当性や,行動論の価値中立性に疑問を投げかけつつ,政治学と社会との積極的関連性を求めた。しかし「政治科学」によって得られた知見の社会的意味はともかく,知見自体の科学的妥当性は批判の対象とはならず,学問と社会との緊張関係のなかで「科学としての政治学」の樹立は,今なお求められているといってよい。

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