稲負ほせ鳥(読み)いなおおせどり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「稲負ほせ鳥」の意味・わかりやすい解説

稲負ほせ鳥
いなおおせどり

古歌に多く詠まれた鳥の名。稲刈りどきに飛来する秋の渡り鳥といわれるが、古来不明とされ、具体的になんの鳥をさすか明らかではなく、古今伝授(『古今和歌集』の解釈の秘伝)の「三鳥」(百千鳥(ももちどり)、呼子鳥(よぶこどり)、稲負鳥(いなおおせどり))の一つとされている。一説にセキレイともいうが、またクイナ、スズメ、タマシギ、トキ、バンなどにあてる諸説もある。命名の由来も一定せず、「おほせ」は「課(おお)せ」の意味で、稲刈りを催促する意から、また「おほせ」は「負はせ」で、稲を刈り人に背負わせる意から、また鳥の姿が稲を背負っているのに似ているところから、あるいは日本に稲の種をもたらしたという言い伝えから、などとする諸説がある。

[藁科勝之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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