知恵蔵 「穀物価格の上昇」の解説 穀物価格の上昇 石油価格の高騰からバイオ燃料の需要が増え、原料のトウモロコシやサトウキビなどの穀物価格が上昇した。バイオ燃料の需要が増えた背景には、2005年夏に米国を襲ったハリケーン「カトリーナ」の被害で、石油価格が上昇し、石油の将来の安定供給や枯渇への不安が高まり、石油の代替燃料としてバイオ燃料が注目されたことがある。 ブッシュ米大統領は07年1月の一般教書で、原油の中東依存度を引き下げるために、「2017年までにガソリン消費量を20%削減する」という目標を打ち出し、バイオエタノールなど代替燃料の促進を打ち出した。これがトウモロコシなどの価格上昇に拍車を掛けた。また、米国の農家が大豆や小麦の作付けを次々と高値で売れるトウモロコシに切り替えたため、大豆と小麦の供給が減少に転じ、これらの作物価格も高騰することになった。 燃料と食料とが同じ作物を奪い合う現象が起きているわけで、中国などでは、食料確保の理由からバイオエタノールの生産を抑制することにした。 (高成田享 朝日新聞記者 / 2008年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by