拍車(読み)はくしゃ(英語表記)spur

翻訳|spur

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

馬具一種乗馬の際,かかとに取付ける金具で,先端に小さな花がつけられており,これで腹部に刺激を与え馬を制御する補助とする。古くはかかとの一端にとがったをつけただけのものであったが,現在のような形状車を用いるようになったのは 14世紀初頭以後である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

乗馬靴のかかとに取り付けた金属製の馬具。後方に突出し、乗馬中、必要に応じてウマのわき腹を刺激する道具である。拍車は刺激を与える歯車の意味。しかし、中国語の拍車の本来の意味は戦車などのことである。拍車は紀元前4世紀にケルト人が使用していたとされている。初期のものは1本のとげ状のものであったが、のちには歯車状のものとなり、ヨーロッパの中世の騎士はかならず装着し、鉄、金、銀製のものがある。日本では明治以後用いられている。近年は馬体保護のため、あまり使用されなくなっている。安土(あづち)桃山時代に渡来したポルトガル人は、日本の乗馬具に拍車がないと記している。江戸時代には拍車の訳名はなく、仮名で「スポール」と記し、明治初期は「刺馬輪」と和訳してある。拍車という文字は明治中期に現れ、現在は馬具としてより、「拍車をかける」という表現のことばとして盛んに使われている。

[松尾信一]

『加茂儀一著『家畜文化史』(1973・法政大学出版局)』『加茂儀一著『騎行・車行の歴史』(1980・法政大学出版局)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (spur の訳語) 乗馬靴のかかとに取りつける金具。先端に歯車がついていて、馬腹に当てて刺激を与え、馬を御するのに用いる。馬刺輪。
※即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉謝肉祭「かかる時彼鉄板は腋を打ちて、拍車に釁(ちぬ)ると聞く」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

ノーブレスオブリージュ

《「ノブレスオブリージュ」とも》身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

拍車の関連情報