立木ニ関スル法律(読み)りゅうぼくニかんスルほうりつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「立木ニ関スル法律」の意味・わかりやすい解説

立木ニ関スル法律
りゅうぼくニかんスルほうりつ

明治42年法律22号。立木法と略称される。立木(りゅうぼく)は「たちき」ともいわれ,土地に生立する樹木,普通はその集団をさす。樹木は,伐採されるまでは土地の定着物であり,土地と一体をなすものである。立木は,日本では古くから,土地と切り離して独立に取り引きする慣行があったが,民法および不動産登記法には,立木所有権取得の対抗要件に関する規定がなかった。そのため,立木法は,立木のみについて所有権保存の登記ができるものとした。この法律により保存登記をした立木は,土地とは別個・独立の不動産として取り扱われる(2条1項)。もっとも,立木法上の保存登記をせず,明認方法や土地の地上権,賃借権設定による立木所有権の公示をすることも許されており,双方効力優劣に関しては,原則として対抗要件を先に備えた者が勝つと解される。

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世界大百科事典(旧版)内の立木ニ関スル法律の言及

【明認方法】より

…判例・学説はこのような実態を真正面から肯定し,明認方法を立木などの権利変動の公示方法として早くから承認するに至っている。もっとも,樹木の集団については〈立木ニ関スル法律〉(立木法と略称。1909公布)が制定されて登記の道がひらかれ,登記をしたものについては独立の不動産として扱われることになったため(立木法2条),明認方法はとくに必要でなくなったともいえるが,実際上は立木登記のなされる例は少なく,また樹木の集団以外は登記が認められていないこともあって,明認方法は現在なお幅広く利用されているようである。…

【立木】より

…しかし,日本の取引界では,古来慣行的に,樹木を土地に生育したままの状態で地盤と独立して取引してきたので,立木を独立の不動産として取り扱い,独立の物権の客体とする必要があった。そこで,一方でまず,〈立木ニ関スル法律〉(立木法と略称。1909公布)を制定し,〈一筆ノ土地又ハ一筆ノ土地ノ一部分ニ生立スル樹木ノ集団〉であって,〈其ノ所有者ガ本法ニ依リ所有権保存ノ登記ヲ受ケタルモノ〉(1条)を独立の不動産とみなした(2条1項)。…

※「立木ニ関スル法律」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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