明認方法(読み)めいにんほうほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

明認方法
めいにんほうほう

地上に生立する立木やいわゆる未分離果実の所有権変動について,取引慣行として行われてきた公示方法。伐採のために買った立木の樹皮を削って現在の所有者名を墨書したり,所有者名を書いた立札を立てたりすることがその例。立木や未分離果実は元来土地と一体をなすものであるが (構成部分) ,日本ではこれら地上物だけを独立の物として取引の対象とする慣習があるため,判例は明認方法に所有権変動の対抗要件としての効力を認めている。ただし抵当権設定などの複雑な物権変動の公示には使用できない。なお上記のほか,庭石所有権取得,温泉権 (湯口権) 取得の場合にも適用される。

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デジタル大辞泉の解説

めいにん‐ほうほう〔‐ハウハフ〕【明認方法】

立木(りゅうぼく)やミカンなどの未分離の果実について、登記に代わる対抗要件として特に効力を認められた慣行上の公示方法。例えば、立木の樹皮を削って所有者名や番号を記すなど。

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世界大百科事典 第2版の解説

めいにんほうほう【明認方法】

民法は,土地と建物を不動産とし,これについて登記という公示方法を設け,他方,動産については引渡しを公示方法とした。しかし,立木(りゆうぼく),稲立毛,桑葉,未分離の果実などについては,土地の構成部分と考えたがために,公示方法をとくに考慮しなかった。ところが,日本においては,古くからこれらを土地に付着したままで独立の取引の対象とするという慣行が存在し,その際には立木の皮を削って取得者名を墨書したり,あるいは立札を立てるなどして,権利の変動を公示するという方法が採られていた。

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大辞林 第三版の解説

めいにんほうほう【明認方法】

立木や未分離果実について、登記に代わる対抗要件として特に認められた慣行上の特殊な公示方法。土地とは分離して扱うため、立木の樹皮を削って所有者名を記す場合がその例。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

明認方法
めいにんほうほう

立木(りゅうぼく)やミカン・稲立ち毛などの未分離果実について、登記にかわる第三者対抗要件として判例によりとくに効力を認められた公示方法。たとえば、立木法の適用を受けない樹木の集団や個々の樹木については立て札をたてるとか、樹皮を削って所有者名や番号を記すとかといった方法や、一定区域のミカン畑や刈り取り前の稲田については、縄張りするという方法がこれにあたる。現在の民法では、立木は土地の、未分離果実は果樹の所有権にそれぞれ含まれるものとしているため、独立して取引の対象とはならないことになる。しかし、立木や未分離果実などは、古くからその土地や果樹とは別に独立して取引されており、前記のような明認方法を施す慣習があった。そこで、判例は、立木や未分離果実の所有権が土地や果樹の所有者と別人に帰属することを認め、その公示は明認方法で足りるものとしたのである。なお、借地借家法第10条2項は、借地権者の建物が滅失しても、一定の事項を土地の上の見やすい場所に掲示しておけば、建物の滅失から2年間は、その借地権を第三者に主張することができるとする。これも、明認方法を、法律が認めた例である。[高橋康之・野澤正充]

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精選版 日本国語大辞典の解説

めいにん‐ほうほう ‥ハウハフ【明認方法】

〘名〙 法律で、立木やミカン、桑などの木についたままの葉や果実について、権利を登記したのと同様の対抗力が認められる特殊な公示方法。たとえば、樹皮を削って所有者の名前を書きこんだり、ミカン畑に縄張りをしてその部分の果実を買い受けた旨の立札をしたりしておけば、下の土地とは独立して権利を公示したことになる。

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