笙ノ窟(読み)しようのいわや

日本歴史地名大系 「笙ノ窟」の解説

笙ノ窟
しようのいわや

[現在地名]上北山村大字西原

大普賢だいふげん岳に接する文殊もんじゆ岳の山裾に南面した岩窟。谷から数百メートル、頭上百数十メートルの石灰岩絶壁がそばだつ。窟の入口は半円形で幅一一・七メートル、奥行七メートル、中央の高さ四メートル。不動尊を祀る小堂がある。護摩供の跡や五輪塔残欠があり、入口に賽河原積石などが残る。

古来大峯奥駈おおみねおくがけ七十五靡六二番の行場で、多くの聖がここで窟籠りをした記録がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の笙ノ窟の言及

【洞窟】より

…洞窟は,黄泉国,根の国,妣(はは)が国への入口であり,生,死,豊饒,大地,女性などのイメージを宿し,蛇や鬼の住む魔所であるが,一方で神霊の斎(いつ)く聖所でもあるという始源性を帯びている。《道賢上人冥途記》は,941年(天慶4)に道賢(日蔵)が大峰山の笙(しよう)の窟で参籠中に,死んで冥途巡りをして蘇生した話を記し,洞窟が生と死の境にあり,修行者がそこにこもって山霊と交感し,霊力を身につけて再生して山を下る様相を示している。修験者が山を母胎に見立てて,山中の洞窟や岩の割れ目で行う胎内くぐりは,擬死再生を行為によって確証するもので,成年式の試練を果たす意味合いもあった。…

※「笙ノ窟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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