朝日日本歴史人物事典 「笠九郎兵衛」の解説
笠九郎兵衛
生年:元禄3(1690)
江戸中期,久留米藩領筑後国御井郡国分村(久留米市)の篤農家。千歯こき,千石とおしと並ぶ近世の代表的農具である雁爪の考案者。雁爪の語源は「蟹爪」で,宝永6(1709)年,九郎兵衛が山蟹の爪からヒントを得て考えついたといわれ,除草や硬い土の掘りおこしに用いられた。従来よりきめ細かい農業はできるが,多くの労力も要するという,労働集約型農具の典型である。九郎兵衛はこのほか,高良川沿岸の浦河原数町歩を自力で開墾したり,長崎,四国まで出かけていって甘蔗栽培と製糖法を学び,筑後にもたらしたことでも知られる。<参考文献>『久留米市史』2巻
(井奥成彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報