笠九郎兵衛(読み)りゅう・くろべえ

朝日日本歴史人物事典 「笠九郎兵衛」の解説

笠九郎兵衛

没年:安永8(1779)
生年元禄3(1690)
江戸中期,久留米藩領筑後御井郡国分村(久留米市)の篤農家。千歯こき,千石とおしと並ぶ近世の代表的農具である雁爪考案者。雁爪の語源は「蟹爪」で,宝永6(1709)年,九郎兵衛が山蟹の爪からヒントを得て考えついたといわれ,除草や硬い土の掘りおこしに用いられた。従来よりきめ細かい農業はできるが,多くの労力も要するという,労働集約型農具の典型である。九郎兵衛はこのほか,高良川沿岸の浦河原数町歩を自力で開墾したり,長崎,四国まで出かけていって甘蔗栽培と製糖法を学び,筑後にもたらしたことでも知られる。<参考文献>『久留米市史』2巻

(井奥成彦)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「笠九郎兵衛」の解説

笠九郎兵衛 りゅう-くろべえ

1690-1779 江戸時代中期の農民
元禄(げんろく)3年生まれ。筑後(ちくご)(福岡県)御井郡(みいぐん)国分村の人。宝永6年水田除草用農具の雁爪(がんづめ)を考案。また長崎などで甘蔗(かんしょ)栽培と製糖法をまなび,郷里につたえた。安永8年死去。90歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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