(読み)ゲン

デジタル大辞泉 「言」の意味・読み・例文・類語

げん【言】[漢字項目]

[音]ゲン(漢) ゴン(呉) [訓]いう こと
学習漢字]2年
〈ゲン〉
いう。「言明言論極言公言助言代言断言直言不言付言放言明言
ことば。「言語言行格言甘言虚言狂言金言苦言至言序言食言寸言前言体言発言評言方言名言用言流言
〈ゴン〉
いう。「言上過言他言
ことば。「言語道断真言雑言ぞうごん無言遺言ゆいごん
〈こと(ごと)〉「言霊ことだま言葉片言寝言
[名のり]あき・あや・とき・とし・とも・のぶ・のり・ゆき
[難読]譫言うわごと囈言うわごと・たわごと言伝ことづて戯言ざれごと戯言たわごと虚言そらごと

こと【言】

《「こと」と同語源》
口に出して言うこと。言葉。現代では多く複合語として用いられる。「泣きごと」「わびごと」「片」「一多い」
「旅といへば―にそ易き少なくも妹に恋ひつつすべなけなくに」〈・三七四三〉

㋐言葉で表現された事柄・内容。
「たらちねの母のみことの―にあらば年の緒長く頼み過ぎむや」〈・一七七四〉
うわさ。評判。
「心には忘るる日なく思へども人の―こそ繁き君にあれ」〈・六四七〉
㋒詩歌。特に、和歌。
「この歌は、常にせぬ人の―なり」〈土佐
体系としての言語。
もろこしとこの国とは、―異なるものなれど」〈土佐

げん【言】

ものを言うこと。言った言葉。「本人のを信じる」
パロール
[類語]言葉言辞言語言の葉

ごん【言/厳】[漢字項目]

〈言〉⇒げん
〈厳〉⇒げん

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精選版 日本国語大辞典 「言」の意味・読み・例文・類語

こと【言・辞・詞】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「こと(事)」と同語源 )
  2. 話したり語ったりすること。言語行為。特に表現する行為をさしていう。
    1. [初出の実例]「はろばろに 渠騰(コト)そ聞こゆる 島の藪原(やぶはら)」(出典:日本書紀(720)皇極三年・歌謡)
  3. 表現された内容。
    1. [初出の実例]「八田(やた)の 一本菅(ひともとすげ)は 子持たず 立ちか荒れなむ あたら菅原 許登(コト)をこそ 菅原(すげはら)と言はめ あたら清(すが)し女(め)」(出典:古事記(712)下・歌謡)
  4. 言語。ことば。
    1. [初出の実例]「唐(もろこし)とこの国とはこと異(こと)なるものなれど」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月二〇日)
  5. 特に、うわさ、評判、便り、詩歌、記録など。
    1. [初出の実例]「波の共(むた)靡く玉藻の片思ひに我が思ふ人の言の繁けく」(出典:万葉集(8C後)一二・三〇七八)

言の語誌

古く、「こと」は「言(こと)」をも「事(こと)」をも表わすとされるが、これは一語に両義があるということではなく、「事」は「言」に表われたとき初めて知覚されるという古代人的発想に基づくもの。時代とともに「言」「事」の意味分化がすすみ、平安時代以降、「言」の意には「ことのは」「ことば」が多く用いられるようになる。→ことばことのは


いや【言】

  1. ( 動詞「いやる(言)」の変化したもの ) 言う。おっしゃる。
    1. [初出の実例]「ばかアいやナ」(出典:洒落本・辰巳婦言(1798)宵立の部)
  2. ( 動詞「いやる(言)」の命令形「いやれ」の変化したもの )
    1. (イ) 言いなさい。おっしゃい。
      1. [初出の実例]「ムム其の涙は、まだ母に恨が有るさうな。有るならいや。聞きませう」(出典:浄瑠璃・心中宵庚申(1722)下)
    2. (ロ) ( 「…といや」の形で用い、「…といやれば」の意 ) と言えば。
      1. [初出の実例]「こちゃ日本の女子に成りたい。なぜといや、日本は大きにやはらぐやまとの国といふげな」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)三)

ごん【言】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. (しょう)の笛で、右から数えて一〇番目の管の名。高い上無(かみむ)の音で、左手親指によって奏するもの。〔楽家録(1690)〕
    2. 雅楽琵琶の甲所(かんどころ)の名。第三弦の第三の柱(じ)を押えた時の音。左手の薬指によって奏する。壱越調、平調太食調黄鐘調盤渉調では鳧鐘双調では下無(しもむ)とする。〔楽家録(1690)〕
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 ことば、発言を数えるのに用いる。「一言申し上げる」

げん【言】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ものを言うこと。言ったことば。語句。文句。
    1. [初出の実例]「爰絶入之宮人、聞此言忽蘇生」(出典:古事談(1212‐15頃)四)
    2. [その他の文献]〔春秋左伝‐襄公二四年〕
  3. 字。文字。〔漢書‐東方朔伝〕

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普及版 字通 「言」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] ゲン
[字訓] いう・ことば

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
辛(しん)+口。辛は入墨に用いる針の形。口は祝詞を収める器の(さい)。盟誓のとき、もし違約するときは入墨の刑を受けるという自己詛盟の意をもって、その盟誓の器の上に辛をそえる。その盟誓の辞を言という。〔周礼、秋官、司盟〕に「獄は、則ち之れをして詛(めいそ)せしむ」とみえるものが、それである。〔説文〕三上に「直言を言と曰ひ、論を語と曰ふ」とし、また字を(けん)声に従うとするが、卜文・金文の字は辛に従う。かつ言語は、本来論議することではなく、〔詩、大雅、公劉〕は都作りのことを歌うもので、「時(ここ)に言言し 時に語語(ぎよぎよ)す」というのは、その地霊をほめはやして所清めをする「ことだま」的な行為をいう。言語は本来呪的な性格をもつものであり、言を神に供えて、その応答のあることを(音)という。神の「音なひ」を待つ行為が、言であった。

[訓義]
1. いう、神にちかうことばをいう、神にちかう、もうす。
2. ことば、はなす、つげる。
3. おしえ、いいつけ。
4. われ、〔詩〕に用いる。
5. ここに、〔詩〕に用いる。
6. に通じ、やわらぐ、つつしむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕言 ワレ・ココニ・イフ・コト・コトバ・トク・イフココロ・モノイフ・マウス・トフ・ノリ・ノブ・ココロミル・ヨシ・タカシ・アヒダ・シム・トキ 〔字鏡集〕言 マウス・ココニ・トク・トキ・トフ・ワレ・コトバ・ココロミル・シム・イフココロハ・タカシ・スコシ・イフ・モノイフ・ノブ・イハバ・コト・ヨシ・ノリ・アヒダ・カタラフ

[部首]
〔説文〕に(謁)・(諾)など二百四十五字、重文三十三字、〔新附〕に八字を属し、〔玉〕にはすべて三百八十二字を属する。卜文・金文にみえる字形は、おおむねその呪的方法を字形中に含んでおり、たとえば訶は歌の初文で、祝して呵するときの声、譱(善)は羊と両言に従って羊神判、讐は(しゆう)に従って鳥占(とりうら)による審判を示す字であろう。

[声系]
〔説文〕に言声としてなど二字を収める。は亡国や死喪などの不幸を弔うことをいう。

[語系]
言・ngianは同声。は「ことわざ」とよまれるように、本来は呪的な力能をもつ語。言・はみなその性格に通ずるところがある。語ngiaは同系の語。言語と相対していうときは、言は攻撃的、語は防禦的な性格をもつ語である。

[熟語]
言下・言懐・言外・言甘・言官・言戯・言議・言及・言言・言原・言語・言晤・言行・言志・言詞・言肆・言辞・言次・言笑・言上・言誓・言・言責言説・言筌・言・言宣・言泉・言談・言質・言鳥・言動・言道・言訥・言貌・言明・言黙・言路・言論・言話
[下接語]
違言・遺言・一言・怨言・佳言・訛言・過言・嘉言・寡言・雅言・概言・格言・確言・甘言・換言・諫言・願言・危言・奇言・寄言・棄言・言・偽言・戯言・虚言・言・狂言・矯言・曲言・極言・金言・謹言・苦言・空言・寓言・結言・建言・献言・言・五言・語言・公言・巧言・広言・抗言・高言・言・雑言・讒言・卮言・矢言・至言・辞言・邇言・七言・失言・疾言・祝言・重言・緒言・助言・序言・笑言・証言・詳言・上言・食言・嘱言・真言・進言・慎言・箴言・人言・寸言・正言・誓言・贅言・切言・千言・宣言・前言・善言・造言・俗言・他言・多言・大言・体言・対言・代言・題言・択言・託言・誕言・断言・忠言・直言・通言・痛言・提言・適言・伝言・言・毒言・二言・佞言・納言・罵言・発言・鄙言・美言・微言・評言・不言・附言・浮言・婦言・誣言・侮言・文言・別言・片言・便言・方言・放言・暴言・謗言・万言・漫言・無言・名言・明言・妄言・約言・喩言・予言・用言・妖言・要言・揚言・謡言・俚言・立言・略言・流言・綸言・縷言・例言・話言

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【国学】より

…日本古代の文学・言語・制度・習俗などを研究し,古代社会に日本文化の固有性をさぐろうとする学問。江戸時代中期に興り,しだいに思想界に勢力を得て幕末に至り,その影響力は明治初期にまで及んだ。…

【ことば(言葉)】より

…〈ことば〉という日本語の原型は〈こと(言)〉であり,〈ことば〉はその派生語として,おそらく7,8世紀のころより用いはじめられたらしい。最古の日本語文献である《古事記》《万葉集》の場合,〈ことば〉は数例しかみられないのに対し,〈こと〉は〈よごと(寿詞)〉〈かたりごと(語り事)〉〈ことあげ(言挙げ)〉〈ことわざ(諺)〉,また〈ことほぐ(言祝ぐ)〉〈ことどう(言問う)〉などの複合語形で多数みいだされるからである。…

【本居宣長】より

…みずからも記しているが,心ひそめて《源氏物語》をくり返し読み味わうという経験にもとづいてその論はなされており,実証性の自覚がそこには存するといっていい。《排蘆小船》は《石上私淑言(いそのかみのささめごと)》(1763成立)の,《紫文要領》は《源氏物語玉の小櫛(たまのおぐし)》(1796成立)の草稿にあたるが,京都遊学を終えた宣長はすでに紛れもなく一家をなす独歩の学者であった。 33歳のとき,旅の途次松坂に泊まった賀茂真淵と初めてあい,やがて入門する。…

【韻律】より

…遠い古代にはこの規則は歌謡や宗教上の典礼などに,なかば無意識に行われていたものと思われるが,文芸上の美がしだいに意識されるようになるにつれて,韻律の規則も精密に意識化され,ついにはその規則性それ自体が一つの美的価値とみなされるに至った。言語学の上からそれぞれまったく違う系統に分類されるどの国語においても,ほとんど例外なしに,韻律は詩歌の形式的規範となっている。韻律法prosodieはいわゆる詩法art poétiqueの大半を占め,極端な場合には,韻律の規則を守りさえすればいかに内容が無味乾燥であろうと,詩として認められるというような,形式的理解が行われたこともある。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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