篦峯寺(読み)こんぽうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「篦峯寺」の意味・わかりやすい解説

篦峯寺
こんぽうじ

宮城県遠田(とおだ)郡涌谷(わくや)町篦岳(ののだけ)にある天台宗の寺。無霧山(むいざん)篦峯寺と号し、通称篦岳観音(かんのん)」といわれる。奥州霊場第9番札所。光仁(こうにん)天皇の勅願により770年(宝亀1)に草創。807年(大同2)に坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が観音堂を建立して霧岳山(むがくさん)正福寺(しょうふくじ)と号したが、慈覚(じかく)大師(円仁(えんにん))が中興して無夷山(むいざん)尊常住院(そんじょうじゅいん)篦峯寺と改めた。霧の深い所なので霧がなくなるようにとの願いにより、のちに現在の山号とされた。1842年(天保13)野火焼失、51年(嘉永4)に再建、1950年(昭和25)改修した。本尊十一面観音像のほかに不動尊、毘沙門天(びしゃもんてん)、嘉暦(かりゃく)4年(1329)銘の石仏碑、宝徳(ほうとく)元年(1449)銘の花立壇(はなたてだん)の碑などの宝物がある。

[中山清田]

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百科事典マイペディア 「篦峯寺」の意味・わかりやすい解説

篦峯寺【こんぽうじ】

宮城県涌谷(わくや)町にある天台宗の寺。篦岳(ののだけ)観音と通称。本尊は十一面観音。延暦(えんりゃく)年中(782年―806年)京都清水(きよみず)寺延鎮(えんちん)が開山,その後坂上田村麻呂(さかのうえたむらまろ)が観音堂を創建円仁(えんにん)が中興という。天台密教・修験道場として発展,盛時には観音堂を中心に堂舎・坊舎立ち並び門前集落が形成されていたという。

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