日本大百科全書(ニッポニカ) 「籾摺り機」の意味・わかりやすい解説
籾摺り機
もみすりき
籾を玄米と籾殻とに分離する機械。古くは臼(うす)と杵(きね)によって籾摺りと精米が同時に行われたが、元禄(げんろく)年間(1688~1704)に中国から土臼、唐臼(からうす)、磨臼(すりうす)が伝来して、大正年代まで籾摺り作業に用いられた。現在は、回転差を有する2個のゴムロール(直径20センチメートル程度)の間(1ミリメートル程度)に籾を供給し、玄米に損傷を与えない程度に籾に圧迫摩擦作用を与えて90%程度脱稃(だっぷ)(籾殻を剥離(はくり))する方式が主流である。脱稃後は、籾殻や粃(しいな)(皮ばかりで実のない米)を風選装置(唐箕(とうみ))によって取り除く。このゴムロール式脱稃機の発明は明治中期のことで、大正初期には、遠心力により籾に衝撃を与えて脱稃する遠心式脱稃機が考案されたが、その性能はゴムロール式に及ばなかった。
脱稃しきれなかった籾を玄米と仕分け選別する方式には、揺動式、回転式、万石通(まんごくどおし)の3通りがある。揺動式は穀粒の流動特性を生かし、傾斜した粗面板を揺動してその上を流下させて選別する。回転式は円筒状の粗面板内を流下させる方式である。万石式は穀粒を金網篩(ふるい)によって、籾は網上、玄米は網下に流下させる方式で、このいずれかを組み込んだものが全自動籾摺り機である。選別された籾は、ふたたび脱稃機へ送られる。能率はゴムロール幅にほぼ比例し、1時間に600~1000キログラムの玄米を摺り出す。なお、籾のときの重量に対する摺り出された玄米の重量割合を籾摺り歩合といい、通常80%内外の値を示す。
[宮澤福治]