もみすりをしたあと,玄米といっしょになって混ざっているもみがらや,わらくずを選別するのに用いる農具。大きさは幅2m,高さ1mあまり,奥行き50cmくらいの,木の板でかこんだ四角の胴のなかに収められた手回しの送風機で風を起こし,胴の上部の供給口から入れられた玄米に混ざっているもみがらやわらくずを風で吹き飛ばす。中国で発明され完成されたものが,江戸時代の中期に日本へ伝えられた。それまでは,箕に少量ずつとって,ほうり上げるように揺すりながら,自然風にあてて選別をしていた。自然風のないときは,別の1人がむしろを打ち合わせるようにして風を起こすというくふうも見られた。唐箕は一定の風速により,しかも半連続的な供給ができるので,選別精度・能率ともにそれまでの箕を用いる方法より数等まさる。穀粒は湿るのを嫌うため,鉱物のように水に浮かす選別法を用いることができないので,もっぱら風選が用いられている。
執筆者:堀尾 尚志
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各種の穀類を風力を利用して選別する農機具で、元禄(げんろく)時代(1688~1704)に中国から伝わったといわれる。おもな作用部は、材料供給用の漏斗(ろうと)、羽根車(翼車(よくしゃ))を収めた起風胴および選別風胴からなっており、漏斗から選別風胴に落とされた材料は、羽根車(人力またはモーターで駆動する)からの横風を受けて、いちばん手前に精粒、遠方に夾雑物(きょうざつぶつ)、その中間にくず粒が落下する。従来は、米やムギ、豆類などの選別のために広く利用されていたが、穀粒を対象とする最近の農業機械(脱穀機、コンバイン、籾摺(もみす)り機など)は、唐箕を選別部に組み込んでいるため、単体としての唐箕の利用は少なくなった。
[入江道男]
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…選別の方法によっていろいろな種類がある。穀物に付着したごみや土ぼこり,未熟粒,砕粒を風力で除くものは唐箕(とうみ)といい,落下する穀粒に横方向から風をあてると充実した粒は手前に,軽いわらやごみは遠方にとぶ。もみすり機から出る玄米ともみの混合物から玄米を得る選別機を万石といい,多重傾斜金網式や摩擦や比重差を利用する揺動選別機などが用いられる。…
※「唐箕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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