粉末食品(読み)ふんまつしょくひん(その他表記)powdered food

改訂新版 世界大百科事典 「粉末食品」の意味・わかりやすい解説

粉末食品 (ふんまつしょくひん)
powdered food

固形あるいは液状の食品を,加工により粉末状にしたもので,食用時に水または湯を加え原状に復するものと,そうでないものがある。一般的には,液状の食品を乾燥により粉末化し,食用時に水または湯で復元するものをいう。粉末化することにより,かさが著しく減少し,輸送運搬に便利である。また乾燥により,保存性が著しく向上する。長期貯蔵食品として,またインスタント食品としての用途が広い。粉末食品で最も古くから開発され,また現在でも最も広く普及しているのは粉乳である。粉乳は原料牛乳加熱殺菌した後,真空がまで水分50~70%にまで濃縮し,次いで加熱乾燥して製造する。加熱乾燥法には,加熱したドラム上に乳をフィルム状にのばし,水分を蒸散させるドラム乾燥法と,乳を加熱空気中に噴霧し,気流中で水分を瞬間的に蒸散させる噴霧乾燥法スプレードライ)とがある。後者は,乳の品温が上がらないで水分を除去できるため,製品の栄養価の低下や,着色などが起こりにくいので,現在はほとんどこの方法で製造する。乾燥後,あらためて水分を5%程度加え,再乾燥し,粒を大きくして水に戻しやすくしてある。

 粉末食品には,粉末ジュース,粉末コーヒー,粉末清涼飲料水などの嗜好飲料が種々生産され,近年では粉末酒精飲料も市販されている。またインスタント食品用には,粉末みそに加薬を調合した粉末みそ汁,粉末スープなどがある。これらには,粉末品に主として凍結乾燥法により乾燥した加薬が配合されている。粉末食品は,その性質上吸湿しやすいので,1食ずつアルミ箔などの非通気性材料で包装してある。包装材の進歩が粉末食品の発達を支えたといえよう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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