粘度指数(読み)ネンドシスウ

化学辞典 第2版 「粘度指数」の解説

粘度指数
ネンドシスウ
viscosity index

VI(ブイアイ)ともいう.潤滑油粘度-温度特性を示す指数で,E.W. DeanとG.H.B. Davisが提案して以来,世界的に広く規格に採用されている.とくにエンジン油のように,使用温度範囲が広いものでは,温度変化に対する粘度変化が小さい特性が要求され,粘度指数が高いことは,この粘度-温度特性がすぐれていることを表す.粘度指数VIは試料油の40 ℃ と100 ℃ における粘度を測定し,次式から算出される.

ここに,Uは試料油の40 ℃ 粘度,LおよびHはそれぞれ100 ℃ における粘度が試料油と同一値をもつVI = 0および100の基準油の40 ℃ 粘度を示す.VI = 0の基準にガルフコースト系油(ナフテン系),VI = 100の基準にペンシルベニア系油(パラフィン系)が用いられ,LおよびHの値は粘度指数計算表から求められる.一般に,分子が長鎖状のものほど粘度の対温度変化が小さく,粘度指数が高い.なお,上式で求めたVIが100を超えるときは,別の計算式を用いる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「粘度指数」の意味・わかりやすい解説

粘度指数
ねんどしすう
viscosity index

石油関連の粘稠(ねんちゅう)な油、とくに潤滑油の粘度と温度の関係を表す値である。その表示方法は、温度による粘度変化のきわめて小さいペンシルベニア産のパラフィン基原油と、粘度変化のきわめて大きいガルフコースト原油を標準油とし、前者の粘度指数を100、後者を0として計算したものである。粘度指数の大きなことは、温度上昇による粘度低下が小さいことを意味しており、この指数は潤滑油の性質を示す重要なものの一つである。多くの潤滑油はJIS(ジス)(日本工業規格)により、粘度指数の下限が定められている。

[難波征太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「粘度指数」の意味・わかりやすい解説

粘度指数 (ねんどしすう)
viscosity index

潤滑油の粘度が温度によって変化する割合を示す尺度。VIと略記する。一般にパラフィン分に富む潤滑油は粘度の温度による変化が少ない優れた性質を示す。この場合には粘度指数が高い値をとる。粘度指数の測定法はJISに定められている。100℃および40℃において潤滑油の動粘度を測定し,これらの値から計算により粘度指数を求める。
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