(読み)エツ

デジタル大辞泉 「粤」の意味・読み・例文・類語

えつ〔ヱツ〕【粤】

(「越」とも書く)中国南部、現在の浙江せっこう省以南からベトナム北部にかけて住んでいた南方系の民族。また、その国。
中国広東カントン省の異称

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精選版 日本国語大辞典 「粤」の意味・読み・例文・類語

えつヱツ【粤】

  1. [ 一 ] 越の別称
  2. [ 二 ] 中国広東省の別称。

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普及版 字通 「粤」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音] エツ(ヱツ)
[字訓] ここに

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は(う)。〔説文〕五上に「なり」と発語の辞とする。上部は奧(奥)の従うところと同じで、獣掌の(べん)、すなわち膰肉(はんにく)を供えて祀るところ。もと奥と声義の近い字であろう。経籍に粤・(于)・曰・越、金文を発語に用いる。

[訓義]
1. ここに。
2. 中国南部の称、広東の方面を古く粤といった。

[古辞書の訓]
名義抄〕粤 ココニ・コレニオイテ・イハク 〔字鏡集〕粤 ココニ・コレニオイテ・ツツシムコトハ・マコト・イハク

[語系]
粤・越・曰・于jiuatは同声。聿・jiutも声近く、みな発語の「ここに」に用いる。曰は祝詞盟誓を披(ひら)く意象の字で原義に近く、他は仮借字。

[熟語]
粤宛粤若
[下接語]

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旺文社世界史事典 三訂版 「粤」の解説


えつ

中国古代に広く江南に分布した民族
漢人からは夷狄 (いてき) とみなされた。現在の広東・広西をさす場合が多く,それぞれ粤東・粤西という。特に粤を広東の意味にも使うのは,この地が粤人の中心的居住地であったことによる。

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百科事典マイペディア 「粤」の意味・わかりやすい解説

粤【えつ】

中国の地名と同音同義で,古代における南方異民族の呼称。転じて現在は広東地方の別称。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【越】より

…夏王少康の子無余が封ぜられた国というが,不明。郕・粤・於越とも書く。春秋後半に強大となり,呉と争い,王句践(こうせん)は前473年呉王夫差を破り,呉を併合。…

【広東[省]】より

…中国,最南部の省。略称は粤(えつ)。面積18万0297km2,人口6961万(1996)。…

※「粤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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