紫山地(読み)ちくしさんち

日本歴史地名大系 「紫山地」の解説

紫山地
ちくしさんち

北部九州の筑紫平野以北にそびえる山地。背振せふり山地・三郡さんぐん山地・英彦山古処ひこさんこしよ山地・福智ふくち山地という四つのそれぞれほぼ独立した山地群から構成される。英彦山古処山地は東部が火山岩類から構成され成因が異なるため、成因的には西部の古処山地を三郡山地に含め、東部の英彦山山地を筑紫山地から切離す見解もある。英彦山の火山活動期は第三紀で、火山体は浸食が進んでいる。このため地理的には英彦山古処山地を一連の山地として筑紫山地の一部に含めることが多い。一般的な筑紫山地は佐賀県北部・福岡県中北部・大分県北西部にまたがり、低地を挟んで分断・分岐した山地群の総称として用いられる。筑紫山地南部を構成する背振山地と英彦山古処山地はほぼ東西方向に延び、三郡山地と福智山地はほぼ南北方向に延びる。

背振山地は佐賀県北部から福岡県西部にかけて東西方向に延びる山地で、東西約二五キロ・南北約二〇キロの広がりをもつ。主稜線は北部の雷山らいざん山系と南部の天山あまやま山系に分けられ、雷山山系の主稜線部は福岡・佐賀両県の県境をなす。両山系の間には浸食小起伏面に由来する浅い谷地形の発達した小起伏山地が開ける。背振山地の地質は、古生代に堆積した三郡帯の変成岩と、その後の中生代白亜紀に貫入した糸島花崗岩・早良花崗岩・佐賀花崗岩などの花崗岩類からなる。山地内には西北西―南南東方向のリニアメント(線状構造)とこれにほぼ直交する北北東―南南西方向のリニアメントがよく発達し、谷の一部はリニアメントに沿っている。福岡県内では糸島いとしま二丈にじよう町のうき(八〇五・二メートル)前原まえばる市の羽金はがね(九〇〇・三メートル)と雷山(九五五・四メートル)、福岡市早良さわら区のかな(九六七・二メートル)と背振山(一〇五四・八メートル)、筑紫郡那珂川なかがわ町の九千部くせんぶ(八四七・五メートル)筑紫野ちくしの市の(四〇四・五メートル)などが主稜線を構成する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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