細胞小器官(読み)サイボウショウキカン(その他表記)cell organelle

デジタル大辞泉 「細胞小器官」の意味・読み・例文・類語

さいぼう‐しょうきかん〔サイバウセウキクワン〕【細胞小器官】

細胞内にある、原形質一部が特殊に分化した構造物の総称ミトコンドリア小胞体ゴルジ体など。オルガネラ細胞内小器官

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改訂新版 世界大百科事典 「細胞小器官」の意味・わかりやすい解説

細胞小器官 (さいぼうしょうきかん)
cell organelle

単に細胞器官,あるいはオルガネラと呼ぶこともある。細胞内で一定の機能をもつ機能的・構造的に分化した有機的単位の総称。真核細胞の原形質は生物個体における器官と同じように,複雑で高度な機能を分業分担するため,各部分の形態が特殊に分化して特定の機能を担う有機的単位となっている。

 核,ミトコンドリア,葉緑体,小胞体,ゴルジ体,リソソームなどは膜構造によって機能的に分化した細胞小器官であり,中心粒,リボソームなどはタンパク質や核酸の複合集合体が細胞小器官として働いている例である。なお,デンプン粒,脂肪粒,分泌顆粒(かりゆう),色素など後形質は細胞小器官に含めない。

 細胞小器官の起源は,真核細胞の誕生に深い関係がある。とくに細胞内で自己増殖するミトコンドリアや葉緑体は独自の小さな環状DNAをもち,それぞれ固有の遺伝子座がその上に配列していて細胞小器官としての構造と機能に関する重要な遺伝情報発現を行っている。ミトコンドリアは好気性細菌が,葉緑体はラン藻がそれぞれ原始真核細胞内に共生して長い年月ののち細胞小器官になったと考える説(内共生説)が有力である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「細胞小器官」の意味・わかりやすい解説

細胞小器官
さいぼうしょうきかん

細胞内にあり、原形質の一部が特殊に分化した構造物の総称で、オルガネラともいう。細胞小器官は普通、後形質は含まず、次のように2大別される。(1)DNAをもち自己増殖を行うもの、すなわち核、ミトコンドリア、葉緑体など。(2)DNAをもたない小胞体、微小管リソゾームゴルジ装置ミクロボディなど。以上の2大別のほか、場合によっては(1)のDNAをもつもの、および(2)のうちの膜によってほかの部分とくぎられているリソゾーム、ミクロボディなどに限定することもある。細胞小器官という語はもともと、原生動物のように個体が1細胞からなる場合に、個体内の器官がそのまま細胞内構造となっているのでつけられた。

[大岡 宏]

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知恵蔵 「細胞小器官」の解説

細胞小器官

細胞内で一定の機能を果たす構造体の総称。ミトコンドリア、光合成にかかわる葉緑体やその他の色素体、細胞分裂にかかわる中心体、細胞内の伝達システムを構成するゴルジ装置や小胞体、ミクロボディー、分解消化にかかわるリソソーム、リボソームなどを指すが、繊毛や鞭毛を含めることもある。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「細胞小器官」の意味・わかりやすい解説

細胞小器官
さいぼうしょうきかん

細胞器官」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の細胞小器官の言及

【器官】より

… なお,単細胞生物では運動,感覚,消化,排出などの作用をもつ器官に類似した特殊な構造が原形質から分化していることが多い。これらは細胞小器官,細胞器官,類器官などとよばれ,細胞生物学の重要な研究対象となっている。【田隅 本生】。…

※「細胞小器官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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