微小管(読み)びしょうかん

日本大百科全書(ニッポニカ)「微小管」の解説

微小管
びしょうかん

細胞にみられる、外径25ナノメートル、壁の厚さ5ナノメートルの中空細管で、微細、微細小管ともいう。管壁は小管の長軸と平行に並ぶ13本の原繊維で構成されている。各原繊維はチューブリンとよばれるタンパク質からできている。微小管の働きとしては、細胞の運動や、細胞の形成と保持に関する次のようなものがある。それらは、有糸細胞分裂のとき紡錘糸として行う染色体の移動、黒色素胞内のメラニン顆粒(かりゅう)の移動、神経細胞の樹状突起内の軸索流による物質移動、鳥類以下の有核赤血球の円盤状の形態やアメーバの仮足細胞骨格としての支持作用などである。繊毛には、中心に2本の微小管と周辺に9組(2本で1組)の微小管がある。周辺微小管についている腕状突起は、ダイニンとよばれるタンパク質で、ATPアーゼ活性がある。ATP(アデノシン三リン酸)のエネルギーを利用して、微小管どうしの滑り合いにより繊毛の運動が生じる。

[小林靖夫]


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栄養・生化学辞典「微小管」の解説

微小管

 細胞骨格の一つ.直径24mmの細管.チューブリンで構成されている.細胞分裂時には紡錘糸を形成する.

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化学辞典 第2版「微小管」の解説

微小管
ビショウカン
microtubule

マイクロチューブルともいう.チューブリンの二量体(α,βのヘテロダイマー)が規則正しく多数集合してできる,直径20~27 nm管状構造体.細胞内骨格系を構成し,細胞内小器官や顆粒の輸送を担う役割を果たす.細胞分裂の際に新しくつくられる紡錘体も,微小管で染色体の移動に関与する.べん毛や繊毛も複数の微小管が組み合わさってできている.微小管と相互作用するタンパク質が多数知られており,それらの組合せで上記のように多様な機能が生じている.

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デジタル大辞泉「微小管」の解説

びしょう‐かん〔ビセウクワン〕【微小管】

細胞内にある管状の構造物。細胞の運動や形の保持に関与する細胞骨格の一つ。チューブリンというたんぱく質からなり、太さ約24ナノメートル。細胞分裂の際には紡錘糸となって現れる。細胞小器官などを輸送するレールの役割も果たしている。

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精選版 日本国語大辞典「微小管」の解説

びしょう‐かん ビセウクヮン【微小管】

〘名〙 細胞内にある外径二五ナノメートルの中空の管。チュープリンという蛋白質からなり、有糸細胞分裂のとき、紡錘糸として染色体の移動にかかわる。微細管。微細小管。

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世界大百科事典内の微小管の言及

【細胞】より

…さらに繊維構造は,デスモソームdesmosomeを介して細胞間の結合にも関係しており,細胞集団の形態形成は,各細胞内の繊維構造の再編成とその繊維構造による力の発生および伝達で実現される。 このように多方面にわたる細胞機能に関係している細胞骨格cytoskeltonは,複雑で細胞種によっても微妙に違うが,それぞれ特色ある3グループの繊維(微小管,中間繊維,マイクロフィラメント)によってつくられる構造に大別される。これらの繊維構造は,それぞれの構成タンパク質を抗原として調製した蛍光抗体で,細胞を染めれば,蛍光顕微鏡によってこれらの細胞骨格構造を識別することができる。…

【チューブリン】より

…微小管microtubuleを構成するタンパク質。微小管は生物界のほとんどすべての細胞に見いだされる直径24nmの管状繊維構造で,鞭毛・繊毛運動,細胞形態の形成・維持,細胞分裂,神経軸索内輸送などの多くの生理現象に深く関与している。…

※「微小管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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