日本大百科全書(ニッポニカ) 「経営科学」の意味・わかりやすい解説
経営科学
けいえいかがく
経営問題の科学的解明を目ざす研究分野。具体的には、次の二つのいずれかをいう。
(1)ドイツにおける経営科学Betriebswissenschaftenで、20世紀初頭アメリカで発展した科学的管理法を進化させ、その内容と方法を経営問題に広く適用して分化した諸科学を総称する。インダストリアル・エンジニアリング(IE)のような技術的研究、労働科学のような生理学的研究、労働者の心理的研究、組織に関する組織論的もしくは社会学的研究などが含まれる。全体に共通する統一原理を欠いているため複数科学の集合とみなされ、原語は複数形となっている。
(2)1950年ころからアメリカを中心にして発展してきた経営科学management scienceで、数理的に経営現象を解明する研究を総称する。管理科学とも訳される。この中心はオペレーションズ・リサーチ(OR)である。方法として経営問題を数式モデルや数理的過程のシステムとしてとらえることを特色とし、そのためミクロ経済学との関係が深い。
[森本三男]