絞扼性ニューロパチー

六訂版 家庭医学大全科 「絞扼性ニューロパチー」の解説

絞扼性ニューロパチー
(脳・神経・筋の病気)

 圧迫性ニューロパチーの一種で、「絞扼」とは「締めつける、締めつけられる」という意味です。

 骨、腱などに囲まれた狭い場所を走る神経幹は、圧迫の機序(仕組み)が加わると逃げ場がなくなり、圧迫による損傷を受けやすくなります。代表的なものに、手根管部(しゅこんかんぶ)正中神経が圧迫される手根管(しゅこんかん)症候群があります。中年以降の女性に圧倒的に多く発症し、晩秋早春などの冷え込みが強まると、手指先端の痛み、しびれ、感覚の低下が現れ、早朝に強く、睡眠を妨げられることが特徴です。片側だけでなく、両側でみられることもあります。

 手根管症候群の半数は原因不明ですが、血液透析(とうせき)患者、妊娠中、糖尿病、甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)関節リウマチによる手関節の変形などさまざまな原因で現れます。母指球筋(ぼしきゅうきん)親指の付け根にある筋)などの萎縮(いしゅく)で、手の筋力低下が現れたり、激しい痛みがあったり、感覚が完全になくなった時には、圧迫部位の開放手術が整形外科で行われます。

 肘管(ちゅうかん)症候群は、上腕骨骨折などで(ひじ)の伸びが不十分になると、腱膜が過度に引っ張られ、その下を走る神経幹が伸びた状態となり圧迫されます。また、骨折肘関節を変形させ、周囲組織を瘢痕化(はんこんか)し、神経幹を絞扼することになります。尺骨(しゃっこつ)神経障害が進み、筋力が低下する場合は、肘管の開放、神経移行術など外科的手術を行うことになります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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