綾藺笠(読み)アヤイガサ

デジタル大辞泉 「綾藺笠」の意味・読み・例文・類語

あや‐いがさ〔‐ゐがさ〕【×××笠】

藺草いぐさを綾織りに編み、裏に布を張った笠。中央もとどりを入れる巾子形こじがたという突出部があり、その周囲藍革あいかわ赤革の帯を垂らして飾りとする。武士狩猟旅行流鏑馬やぶさめなどの際に着用した。あやがさ。

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精選版 日本国語大辞典 「綾藺笠」の意味・読み・例文・類語

あや‐いがさ‥ゐがさ【綾藺笠】

  1. 〘 名詞 〙 藺草(いぐさ)を綾の組織にならって編み、裏に絹を張って作った笠。中央に突出部がありそこに髻(もとどり)を入れるようになっていて、その根元のところから、紫や紅の皮を細く裂いた風帯が、数本垂れている。武士が狩り、遠行流鏑馬(やぶさめ)などの際に着用し、田楽法師なども使用した。あやがさ。
    1. 綾藺笠〈石山寺縁起絵〉
      綾藺笠〈石山寺縁起絵〉
    2. [初出の実例]「綾藺笠を著て、〈略〉胡簶(やなぐひ)を負て」(出典今昔物語集(1120頃か)二五)

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世界大百科事典(旧版)内の綾藺笠の言及

【笠】より

…《万葉集》にも,〈河のしづ菅我が苅りて編まなく〉〈王(おおぎみ)の御笠に縫へる有馬菅〉などとうたわれるように,スゲを苅って笠に編んだことがわかる。平安時代には,武士の旅行用や流鏑馬(やぶさめ)に綾藺(あやい)笠が用いられ,女性の外出用にはもっぱら市女(いちめ)笠が用いられた。江戸時代に入ると,形,材質の違いから,また身分,職業,用途によってさまざまな種類の笠が生まれ,武士はもとより町人,農民など男女を問わず広く用いられた。…

【被り物】より

…烏帽子には立烏帽子と,上部を折った風折烏帽子,和船形の侍(さむらい)烏帽子などがある。この時代武士は,藺を綾編みして頭部をとがらせた綾藺笠を,女子は大型の浅い菅の市女(いちめ)笠を広く着用した。また女子では,日よけ雨よけを兼ねた垂衣(たれぎぬ)や,外出用で顔を隠す被衣(かずき)なども行われた。…

※「綾藺笠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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