デジタル大辞泉 「胡簶」の意味・読み・例文・類語 やな‐ぐい〔‐ぐひ〕【胡=簶/胡=籙】 矢を入れ、右腰につけて携帯する道具。奈良時代から使用され、状差し状の狩胡簶かりやなぐいと幅の広い平胡簶ひらやなぐいとがある。また、古製の靫ゆきが発展したものを平安時代からは壺胡簶つぼやなぐいといい、公家の儀仗用となった。ころく。 こ‐ろく【×胡×簶/×箶×籙】 ⇒やなぐい 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「胡簶」の意味・読み・例文・類語 や‐な‐ぐい‥ぐひ【胡簶・胡籙】 〘 名詞 〙 ( 「矢の杙(くい)」の意という )① 矢と矢を盛る箙(えびら)とを合わせて完備した物の具の呼称。箙にさす矢羽や矢篦(やの)の名称から、石打胡簶・鷹羽(たかのは)胡簶・中黒胡簶・鵠羽(くぐいば)胡簶、あるいは節黒胡簶などがある。[初出の実例]「二(ふた)櫜(ヤナクヒ)の箭(や)、既に尽きぬ」(出典:日本書紀(720)雄略二三年八月(前田本訓))② 儀仗の矢を盛る容器。木製で細長い方立に背板(せいた)をつけ、矢を末広形に盛る平胡簶や靫(ゆぎ)の遺制を示す筒形の壺胡簶がある。ともに、蒔絵、螺鈿、木地螺鈿、木地蒔絵などの製がある。また、簡素なものに狩胡簶がある。胡簶②(平胡簶)[初出の実例]「やなくひなど負ひてつかうまつり給へり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸) こ‐ろく【胡簶・籙】 〘 名詞 〙 矢を入れて背に負う武具。矢の全部を包む筒形のものと、大部分が容器から外に現われる矢立式のものとがあり、それぞれ壺胡簶(つぼやなぐい)・平胡簶に発展した。古墳時代からあるが、奈良時代に盛んに用いられ、特に矢立式のものをいうことがある。やなぐい。〔十巻本和名抄(934頃)〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例