線維腺腫

内科学 第10版「線維腺腫」の解説

線維腺腫(乳腺疾患)

定義・概念
 乳房内に発生する間質成分と上皮性成分の増殖によって構成される混合腫瘍である.
分類
 管内型,管周囲型,類臓器型,乳腺症型の4つに分類される.若い女性に発生するものの中には10 cmをこえる大きな腫瘤を形成するものもあり,巨大線維腺腫(giant fibroadenoma)もしくは若年性線維腺腫(juvenile fibroadenoma)といわれる.
原因・病因
 女性ホルモンが関連するとされるが,原因は不明である.経口避妊薬,妊娠など女性ホルモン関連の刺激で増大する傾向がある.
疫学
 15~35歳の女性に多く認められる.
臨床症状
 孤立性または多発性に乳腺内に発生する境界明瞭で可動性良好な腫瘤性病変として認められる.通常は2~3 cmの大きさになるとその増殖は止まり,大部分はその後に自然退縮する.
診断
 視触診,マンモグラフィ検査,乳房超音波検査(図12-19-2B)などで存在診断とおおよその質的診断がされる.穿刺吸引細胞診での診断を基本とするが,年齢,腫瘍の大きさ,増大傾向によっては,針生検,摘出生検などの組織学的検査を実施する.
鑑別診断
 乳腺に発生する腫瘍性病変(表12-19-1)が鑑別診断となるが,特に乳癌葉状腫瘍との鑑別が必要である.葉状腫瘍は線維腺腫に比較し,やや高年齢層(35~55歳)に多く,急速に増大する.悪性葉状腫瘍は血行性遠隔転移を起こす.
治療
 自然退縮が期待できることから,40歳未満で3 cm以下であれば,まず治療の必要はなく経過観察を行う.3 cmをこえる場合は,葉状腫瘍の可能性やその他の悪性腫瘍の可能性を否定するために,針生検や摘出生検などを実施する.葉状腫瘍を疑う場合は,摘出生検が勧められる.
予後
 良性腫瘍であり良好である.[佐治重衡・戸井雅和]
■文献
京都大学大学院医学研究科外科学講座編:外科研修マニュアル,第2版,pp327-347,南江堂,東京,2009.
日本乳癌学会編:乳腺腫瘍学,pp11-68,金原出版,東京,2012.
日本乳癌学会編:乳癌取り扱い規約 臨床・病理 第17版,pp22-34,金原出版,東京,2012.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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